戯言な戯れ事

□参つの念い
1ページ/4ページ

立海、氷帝、六角の三校は京都に合同合宿をしにやって来た。
来たのだが、


「主! 主の顔が見れて嬉C〜!」
「なんで泥睡君が京都にいるのかな?」
「テニス部の合宿をここでやるからだC〜」



「久しぶりですね、鏡瞑」
「萌太も元気そうで何よりぜよ。崩子はどうじゃ?」
「相変わらずです」



合宿所には何故か見知った顔がいた。


「誰だ? オメーらは、アーン?」
「俺はバイトの清掃員です。彼とは幼なじみ兼親戚みたいなモノでしたので、つい」


萌太は跡部に向かって一礼をする。


「仕事中に引き止めて悪かったのう」
「此処を利用する団体の顔を見に来ただけですから。もういきますね」


施設の中へと入っていった。
跡部はそんな様子を見ることなく、もう一組に目をやる。


「A〜! 主と一緒がいいC〜!」
「駄目」
「一緒がE〜!」


「おい! ジロー、そいつは誰だ」


そこで漸く泥睡は跡部の方を向く。


「俺の主」
「は?」


跡部の知る芥川慈郎からは想像も出来ない程強くハッキリとそう告げた。


「俺の主、だよ。跡部」
「へー。芥川君って主とかいるんだ。凄いね」


その場の雰囲気をぶち壊す様に弔狙が二人の会話に割り込んだ。


「俺だったら仕える側じゃなくって仕えさせる側がいいな」
「俺は料理が作れればどっちでもいいのね」
「主になったらモテるかな?」
「さぁーどうだろうな。俺は潮干狩りとテニスが出来れば主とかどーでもいいな」
「主にある字……わっ、バネさん! ちょっとタンマ!」


弔狙の思惑に便乗した訳でもないのにいつもと同じやり取りを交わす六角レギュラー陣。
そんな六角に邪魔されて興が削がれたのか、跡部は一つ大きなため息を吐くとジローを呼んだ。


「おい、ジロー。行くぞ」
「ほら、泣き黒子君が呼んでるよ」
「でも………」
「何かあったら呼ぶから。ね?」
「………分かったC〜」


渋々跡部達の元に戻り、施設の中に入っていった。


「泣き黒子君が今回のターゲット『跡部景吾』君か。面白い事になりそうだね。…………なんて、戯言だけど」


戯言使いの独り言は空へと消えていった。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ