戯言な戯れ事
□余人の話
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その頃、東京では連続殺人事件が幕を開けようとしていた。
「んだよ、これっぽっちしか持ってねーのかよ。」
一人の白髪で、顔面に大きな入れ墨を持った少年がサラリーマンの懐から財布を漁っている。
ここだけ聞くと、ただの親父狩りにしか聞こえない。
だが、これは狩りなんて言う過酷なものではなく、一人の零崎によるただの呼吸なのだ。
「ま、いっか。こんだけありゃ暫くは食い物にありつけるし」
ただ、その零崎がニート同然の暮らしをしていたから、殺したついでにお金を奪っていただけなのである。
「岶識の野郎は元気でやってるかちょっと様子でも見に行くか」
そうして人識はその場を後にした。
開こうとしていた舞台の幕は殺人鬼の気まぐれにより、幕を開ける事なく終演した。
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