IFの世界 〜梔子隊編〜

□第三話
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財前が教団生活にも慣れたある日、室長室に呼び出された。


「此処での暮らしはどうだい?」
「まあまあッスわ」


数日で分かった財前の人柄から、肯定していると判断したコムイは早速本題を切り出した。


「君に一つ任務を頼みたい」
「任務、ッスか?」
「内容はアレンって子のサポートをしてほしいんだ」
「まあ、お世話になりっぱなしは趣味やないんでええッスよ」
「ありがとう。詳しい内容はアレン君と一緒に説明するね」


アレンと言う名前のエクソシストが来るまで、コムイは雑談をする事に決めた様で、色々と質問をしだす。


「財前君、君には兄弟っている?」
「兄弟はおらへんけど、兄弟っぽいのと家族っぽいのやったら仰山」
「へぇ。それって、此処みたいだね」
「あ、でも」


コムイの話を聞いていなかった様で、小さく呟く。


「これ言うと謙也さん、悲しそうな顔するんやった」


元の世界にいる、唯一心から家族だと思える人の能天気な笑顔を思い描いた。
他の隊員の顔も釣られて出て来る。


「その『ケンヤさん』って人の事、凄く大切なんだね」
「え?」
「だって、ほら。財前君も悲しそうな顔してる」


指摘されて始めて気が付いた様で、恥ずかしそうに顔を下げた。


「コムイさん、今回の任務は何ですか?」


そこに元気よく、白髪に不思議なペイントを顔に施した少年 ― アレン ― がやって来た。







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