IFの世界 〜梔子隊編〜

□第八話
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「お待たせ、柳生。次からは柳生と仁王も参加していいってさ」
「そうですか。所で、何処まで話した」


いきなりブロートとして喋り出した事に驚く事も、怯む事無く、いつものように答えた。


「半分本当で二割嘘かな。『零番目』と本来の繋がりは言っていないよ」
「分かった。カルロに死神が話しを聞く事はないだろうが………」
「そっちは任せて。柳生は仁王に、頼んだよ」
「ああ。一応マサに伝えておくか」


詩歌を紡ぎ、仁王に連絡を入れた。


「ついでに言うと、連れて行くのは二人だよ」


幸村が梔子隊に打ち明けた事と、これから行く事、それからその人数も。





――――――


支度を整え、さあ出発しようとした室町を謙也が呼び止めた。


「これ、光に会うたら渡しといてくれへん?」


そう言って差し出したのは財前の伝令信機であった。


「これ………」
「さっき元気の出る魔法かけといた言うて、リョーマがくれたんよ。おらんくなった時に落としたん拾っといてくれとった。俺も光が寂し無いよう写真撮っといたし、しょぼくれとったら活入れとき」
「………分かった、光に渡しておく。…………笑って、謙也兄さん」
「これでええか?」


パシャ――――


「はい。十分です」


いつもの元気な笑みを浮かべると、財前の伝令信機で一枚写真を撮る。


「謙也兄さんの顔見たら、光の毒舌も復活するしょ」
「酷いわー。謙也君傷ついとってええ?」
「『勝手にしとって下さい、気持ち悪い』って所かな?」
「やな。ほな、きいつけて」
「はい」


瞬歩を使い、柳生が待機している仁王宅へと急いだ。

――――――


仁王宅のとある部屋の前………というか、意図的に座標固定してある『空間の歪み』の前に三人と幸村が揃った。


「注意事項は以上です。幸村君、また置いて行かなければならなくすみません………」
「大丈夫。今はこっちにも仲間がいるからね」


二人に簡単な注意事項を告げると、詩歌を紡ぎ道を繋ぐ。


「行ってらっしゃい。『兄弟』に会ったらその時は宜しく」


幸村のそんな呟きを背に、仲間が待つ異世界へと旅立った。






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