捧げ物

□とある一家の休日
1ページ/5ページ

「………寒い」


スーパーへと買い出しに行った帰り、仁王は思わず呟いた。
制服にテニスバックと、夜のスーパーには主婦が殆ど居ないとはいえ、かなり浮いていた。

「………明日はヒロ来るし、鍋作らすか」


そして次の日、本来なら既に活動している時間であるのにも関わらず、仁王は布団にいた。


ガチャ――


「マサ、お邪魔しますよ」


お邪魔すると言いながら我が家の様に上がり込んだ柳生。
いつもと様子が違う家の様子に眉を潜めた。


「マサ?」
「か………がみ?」


意識が混濁して前世と今世がごっちゃになっている上に、判断能力が落ちている為、そこにいるのが『柳生比呂士』ではなく『シーカー・ジョーンズ』であると誤認していた。


「俺だ、ブロートだ。分かるか?」
「お兄ちゃん………かえ?」
「ああ。とりあえず寝てろ、飯を持って来る」
「あり………ぃと…………」


辛そうだが、嬉しそうに笑うと眼を閉じた。
それを見届けた柳生は、携帯を取り出し、どこかへとメールを送る。


「さて、ご飯と薬を用意しませんと」


そう呟いた柳生は台所へと向かった。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ