捧げ物

□とある部長の一日
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午前6時、自宅の一室で曜介はPCを起動していた。


「ハッキングは狂平に任せときゃよかったぜ……」


そう言いながらも、慣れた手つきでいくつものサイトや企業のデータバンクに不正アクセスをしてゆく。


「これでもう二度とマフィアと関われないだろ」


彼がやっていた事は、ついこの間襲撃してきた脱獄犯を徹底的に裏社会から抹殺する事だった。
今頃、曜介直属の部下の手によってヴィンディチェに送還されている事だろう。


「こっちの報告書は送って大丈夫なんだっけな………」


独り言を呟きながら次々と書類を片付けてゆく。
作業に集中していた曜介は、いつもなら朝ご飯を取っている時間であるにも関わらずPCと紙媒体の往復を繰り返した。


コンコン―――


「ぶちょー、飯ー」
「あ、今行く!」


なかなか出て来ない事に痺れを切らした虎次郎が、曜介を呼びに来た。
実家が北海道にある虎次郎は、『なにかと便利だから』という理由で曜介の家に住み着いている。
同じ地方出身である蓮次は一人暮らしをしているのに、だ。


「なあ、コジ」
「何?」
「お前の姉ちゃん次いつ日本に戻って来るんだ?」
「こないだの手紙だと、なんかパリコレっぽいショーに出れる事が決まったらしいから、一年はこっちに来れないらしいよ」
「流石って言うか、相変わらずって言うか」


食後、呼んであった運び屋に書類を渡し、隣に住んでいる桃と合流してから学校へと向かった。




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