IFの世界〜偽りの真〜

□第六話
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「ちゃーッス」
「ミカワヤでーす」


部室に入って来た赤也の第一声に仁王がふざけて続けた。
しかも無駄にレベルの高い声真似付きで。


「なあジャッカル、なんで『酒屋』なのに『ミカワヤ』って言うんだ?」
「酒屋の名前が『ミカワヤ』なんじゃねーの?」
「あー、そっちか」
「そっちって、そっちじゃなかったらどっちだよ」


くだらない話をしながら丸井達が出て行った。
その為、部室に残るは今来たばかりの赤也と、柳生を待ってる仁王の二人だけに。
この二人もミカワヤについて話をしていると、委員会で遅くなった柳生が入って来た。


「おや、仁王君はわざわざ待っていてくれたんですか?」
「おん。今日はダブルスの練習をする日じゃけ」
「………本当にやるんですか?」
「柳生次第じゃけど、とっておきの切り札になるじゃろ?」
「まあ、そうですけど……」


着替え終わった赤也が、ラケット片手に部室を出て行こうとした。
しかし、柳生がそれを呼び止める。


「後でお伺いしたい事があるので、後で少々お時間頂いても宜しいでしょうか?」
「いいッスけど、何でッスか?」
「いえ、大した事では無いのですが、気になる事がありまして」
「やーぎゅは雅君より赤也の方が好きなんじゃな……。こうなりゃ離婚じゃ!」


わざとらしい泣きまねをしながら部室を飛び出す。
それを呆れながら見送ると、ため息混じりに突っ込んだ。


「離婚の前に結婚してませんから。それにご自身で『雅君』と言っても可愛くありませんから」


一息付いてから赤也と向き合う柳生。


「少し予定が早まりましたが、お伺いしたい事があります。宜しいでしょうか?」


その言葉からは強い意思と覚悟が滲み出ていた。




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