IFの世界〜偽りの真〜

□第一話
1ページ/4ページ

――― 神奈川県のとある町では、謎の連続失踪事件が起きていた。
失踪者の共通点は無し。
しいて挙げるとすれば、失踪したであろう地点に石像が破壊された跡と見られる残骸が残されている位だろう ―――





「起きろ赤也」
「後5分…………」
「だーめ」
「うぉお!?」


赤也を起こしに来た彼は、布団を剥ぎ取り、ベッドからたたき落とす事で、本来の目的を達成した。


「いったー………」
「さっさと起きない赤也が悪いんだからね」
「だからって落とす事は無いだろ」
「ハイハイ。それよりおばさんが朝ご飯出来たって。早く出てこいよ?」
「わーってるよ、精市は先食ってていいから」


眠い眼を擦りながら着替えを始めた赤也を残して彼、幸村精市はリビングへと移動した。
リビングに置かれたテレビからは連続失踪事件について、専門家のとんちんかんな解説が流れている。


「赤也起きた?」
「起きなかったから落としちゃった」
「まぁ」


二人で笑いながら赤也の話をしていたが、いつの間にかテレビの話題になっていた。


「せー君も赤也も、誘拐には気をつけてね」
「大丈夫ですよ。赤也が護ってくれてますから」
「あら、せー君が赤也を守っているんだって思ってたわ」


寝癖を残したまま着替えを終わらせた赤也が、獣化した闇を切り刻む者(ブラット・ビースト)を連れてリビングへと入って来た。


「昔っから護るのは赤也達の仕事だよね、赤也」
「へ? なんだよいきなり。当然だろ?」
「ビークも待ってるんだから、そろそろご飯食べなさい」
「「はーい」」


切原家ではビークとよばれている獣化中のイノセンスは、急かすかの様に、二人へと体を擦りつける。


「ちゃんと連れていくから安心してね」
「ソーセージもーらいっ!」
「ちょ、赤也! 返せ!」
「食べちゃったから無理〜」
「そんなに校庭走りたい?」
「それ、職権乱用だろ!」


賑やかな食事もそこそこに、二人と一匹は学校へと向かった。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ