IFの世界〜偽りの真〜

□第四話
1ページ/4ページ

あれから数日、三人はそれとなく仁王が怪しいと判断した柳・丸井・柳生の三人を観察していた。
そんなある日、頃合いを見計らってある四人に声をかけた。


「仁王と柳生、コート入って。ジャッカルとブン太も」
「っちゅう事はダブルスかの?」


仁王の質問に、幸村は首を横に振る。


「いんや、シングルだよ。ダブルスだからって、そればっかりやってると相方のいい所、も悪い所も見えなくなるからね」
「そういうもんかよぃ?」
「あ、後、負けた方は真田のビンタね」
「はあ!?」


大した事なさそうに、罰ゲームを言い渡した。
それぞれが嫌な顔を浮かべながらも、コートに入る。


「精市も鬼だな。出来もしない罰を課すとは」


現在真田は監督と共に、練習試合の打ち合わせをしている為、部活には参加していない。


「そうかな? ま、罰は嘘だけど。それより、連二には赤也を頼んでおいたよね?」


ああ。と小さく言葉を漏らし、少し離れた所にあるベンチを指差す。
そこに腰掛けている赤也はまるで、真っ白に燃え尽きたボクサーの様だった。


「見事に打ち負かされたって感じだね」
「ついでにメンタル面も鍛えようと思ったのだか、どうやらやり過ぎたらしい」
「赤也はそれでいい。その方が面白い事になるよ」
「精市の『面白い』は洒落にならん事の義類語に当たるというデータがあるが?」
「酷いなぁ」


わざとらしく拗ねた振りをする幸村。
耐え切れなくなったのか、二人は思わず楽しそうな笑い声をあげた。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ