IFの世界
□もう一つの地上
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――――キン――――
――ジャラ、キン!キン!――
見覚えがありそうでなさそうな場所で二人の人間が戦っている。
敵はどこか馴れ親しんだ人物に酷似していた。
――『 』!――
戦っているのが二人だけかと思ったら後方から声がした。
どうやら三人掛かりらしい。
――「………く………え」――
三人掛かりでもあるのになかなか倒れない敵。
余裕の笑みを浮かべながら三人をどんどん疲弊させてゆく。
――「き……く、お………まえ」――
周りには似たような服装の人間が倒れている。
恐らく敵にやられたんだと推測出来る
―― 、 ――
敵が俺に向かってそんな事を言ってきた。俺は泣きながら首を横に振る。
後方支援している人に何かを言うがその人も首を横に振る。
そして、獣の様に叫びながら敵の胸に剣を――――
「切原君!起きたまえ!」
「うぉ?!」
先輩に揺さ振られ、赤也は目を覚ました。
現在、立海テニス部では全国三連覇に向けた練習をしており、今は休憩時間である。
「や、柳生先輩? どうしたんッスか?」
「それはこちらの台詞です。うなされていた様ですが……」
「なんか、よく覚えてないんスけど、夢を見た気がするんす。」
「夢、ですか?」
「ッス。」
「……そんな事よりもそろそろ練習再開しますよ。」
「マジっすか?! 起こしてくれてアザっす!」
そういうとコートの方へと走っていった。
そして、柳生の背後から風船の様な体に大砲が埋め込まれた化け物が柳生を狙っている。
「イノセンス、発動」
柳生はポケットから取り出した指輪を嵌めてそう呟くと振り返る事もせずに化け物の体に指輪から生えた鎖を纏わせる。
「止まっていた歯車は動き出してしまいましたか。あの時のまま動かなくなればいい、なんてただのエゴですよね」
鎖を引っ張ると鎖の中から爆発音が聞こえた。
そして、鎖を元の指輪に戻すとポケットにしまう。
「さて、私もそろそろ戻りませんと。」
そういって柳生もコートへと向かった。
そう、運命の歯車は望まれる事なくゆっくりと動き出したのだ。
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