IFの世界のIFの話
□もう一枚の鏡
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彼と出会ったのは、4月の13日でした
曜日は金曜日
私たちの兄と戯言使いの人類最弱が出会った日のちょうど二年後と一月前辺りでしょうか
そもそも学校には学業を学びに行くつもりで、部活動に精を出す予定も、裏世界の知り合いを作る予定もありませんでした
人識兄さんと同じく学校に通い、人識兄さんと違って真面目に卒業して、高校・大学と進学しながら零崎として生きる筈でした
彼と出会わなければ
――――――
それはある日突然やってきた。
その日も普通に呼吸をして帰ろうと荷物をまとめて下駄箱で靴を履き替え、校舎を出た時でした。
近くで何かを運んでいた人間がつまずき、カゴの中身を少しこぼした。
落とした物はテニスボールで、一緒に運んでた人も一緒に拾い集めていた。
私の足元にも一つ転がってきたので拾って彼らに渡そうと近づきました。
「これ、落としましたよ」
「あ、ありがとうございます」
「すまんのう」
銀髪の彼に手渡すついでに彼の顔を見て、思わず動きを止めてしまった。
何故ならそこに鏡があるような錯覚を覚えてしまったからである。
外見はどう見ても似ても似つかわしくない、むしろ真逆とも思えるほど全然違った。
「あ、すまん。今変な感じがしたもんでのう」
「いえ、私も似たようなものです」
似たような感覚を話で聞いた事あるような……
「おまん、名前は?」
「零崎、岶識……です。」
「俺は石凪鏡瞑、じゃ」
何故、今零崎姓を名乗った?
零崎と柳生の二つの名前を使って生活するのも長いのに、無意識に表の名前ではなく裏の名前を名乗っていた。
そして、去り際に一言
「明日、昼休みに屋上で待っちょる」
と言って荷物を持ってテニスコートへと向かった。
私は不思議な気持ちのまま、零崎を始めるべく町へと繰り出した。
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