IFの世界のIFの話
□丸井誕生日記念
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ある日の昼休み、立海レギュラーが集まってお昼を食べていた。
「ところで提案なのだが」
たわいもない話をしていると、柳がそう切り出した。
「一度、練習に剣道を取り入れたいと思っている」
「剣道? テニスと関係無い気がするが、意味はあるのか?」
ジャッカルが皆を代表して尋ねた。
「ああ。これは他校バレー部のデータだが、手首のスナップを鍛える練習として、キャッチボールを取り入れた所、71%程練習の成果がみられた。そこで我々にも効果の在りそうなスポーツを探した結果、剣道にたどり着いたという訳だ」
「確かに剣道は竹刀を握り、手首を使うスポーツだ。それに、集中力・判断力・反射神経もテニスをする時より高度である必要性が生じる」
普段刀で戦っている幸村・丸井と剣で戦う赤也は内心二人の言い分に納得した。
普段刀は刀でも、手刀に近い仁王と柳生は嫌そうな表情をうっすらと浮かべる。
「成る程………」
立海の常識人、ジャッカルはその説明で納得したようだ。
「早速今日の放課後からやってみようよ。場所は………真田、お前の家でもいいかい?」
「一応、親に聞いてみるが問題はないだろう」
「『剣道』はやった事が無いから教えて下さいッス、真田副部長」
「無論だ」
楽しそうな赤也達を横目に仁王は幸村に声をかけた。
「のー幸村、絶対かの?」
「うん、絶対」
「正統派の剣術なんて、千年ぶり位なのですけど」
「俺も似たような感じだったじゃん」
二人はいつもと違う剣技を本当にやりたく無いらしく、どうにか回避しようと交渉の様な説得を続ける。
「幸村の場合は40年ぐらいじゃったろ」
「そうだっけ?」
「そうですよ。それに、中途半端に他の剣技を習得すると、今まで積み上げてきた物が壊れてしまいます」
「でも、その技を使う機会はもうないよ」
「それは………」
「そうなんじゃが…………」
二人とも幸村を論破するどころか、逆に論破され眉を潜めた。
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