梔子隊

□第六話
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「「『――――涙 波打 空なるが有 無なるが是 死を詩に 静を精に』」」


二人が詩歌を紡ぎきると、仁王は机に腰掛け、柳生は立ったままだったが、息を切らせた。
一方、詩歌の説明を聞いた丸井は詩歌を紡ぐ二人を研究者として丸井はとても興味深く見ていた。
そして、自ら導きだした結論に


「これってよぉ、詠唱や結果は違えど鬼道と同じもんじゃねーか………しかも、鬼道より威力は全然上だし………人間がそんな事、出来んのかよぃ…………!」


目を輝かせながら驚愕した。
前世について話していない二人は丸井の発言を聞き流す。


「あー、疲れたー」
「といっても、切原君もつれて移動するよりは全然マシですけどね」
「確かに。一人じゃと次の日も学校どころじゃなかったかんのう」
「最終的には慣れて、半日休めばなんとかなるようになってたよね」


幸村がちらっと時計を見る


「そろそろ部活いこ? これ以上は部長権限使わないと厳しいかなー?」
「げっ」
「動きとーない」
「我儘言わないで行きますよ」


四人が部室に行くと、きちんと詩歌が発動した様で皆、幸村の事を『転入生』ではなく『部長』として認識していた。
そして、部活が終わり、用事があるという事で丸井と幸村は先に帰った。
他の部員も帰り、残ったのは英語の追試のせいで遅刻した赤也と、赤也がさぼらない様に監視する為に残った柳生の二人だけだった。


「切原君、最後にグラウンドを五周すれば柳君のペナルティーメニューはおしまいです」
「まだあんのかよ……」
「これで最後ですから頑張ってくださ……?!」
「殺気……?!」


二人は背中合わせになり辺りを警戒する。


「ほう、なかなかやるな……」
「誰だ!」


柳生が叫ぶと、一人の人間が二人の前に姿を現した。


「お前らは『柳生比呂士』と『切原赤也』だな?」


赤也にはその人間の姿が見えていない様で、気配だけを頼りに警戒をする。


「そうだ、と答えたら?」
「我が名は劉陶弥。お前達の主になる男だ」
「俺達は誰の下にもつかねーよ! イノセンス、発動!」


柳生の手元から鎖が伸び、劉陶弥と名乗った男の八方から突き刺す。
だが、


「やはり、人間の割にはなかなか興味深い力だ『奪え 無月』」


鎖は刺さらずに全て切り落とされた。
そして、赤也が柳生の鎖が切られたポイント目掛けて切り掛かる。


「はぁ!」
「無月、狙いは切原赤也と柳生比呂士だ」


キン―――


刀と剣が交わったその時、赤也と柳生は意識を飛ばした。





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