梔子隊

□第七話
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「セイは赤也を頼む!」


そう言って目線を二人から離すと、いつもと違う雰囲気を纏った赤也が何者かと一緒に立ち去ろうとしていた。


「待て!」


二人の進路に幸村が立ちふさがる。


「そこをどいてもらおうか」
「隣の子を置いていってくれるならね」
「ふん、なら力づくで通らせてもらう」


そういうとイノセンスを発動させた赤也が幸村に切りかかる。


「にげ……て……」
「お前らを見捨てられるわけないだろ!」
「コイツもかかりが悪いな」


二人のやり取りを見てそう呟いた。


「はあ!」
「む?」


隙アリといわんばかりに丸井が切りかかる。
だが、最小限の動きでそれを避けてしまう。


「てめえ、赤也に何しやがった………」
「そんなことより、街の方はいいのかな?」


丸井の質問に答える事なく、ぱちんと指を鳴らす。
すると、街の方に大量の虚の気配が漂ってきた。


「ブン太、行くよ」
「けどよぃ!」
「ここは精市達に任せておけば大丈夫だから、ね」
「………くそ!」


丸井はその男から情報を吐かせるのをあきらめて、周助と共に虚の退治に向かった。
そしてその隙に男も姿を消した。
今度は道具や術でではなく、空に空けた穴を通って。


「はあ!」


地中から生えた鎖を巻きつけ、柳生の動きを封じる。


「しっかりしろ! ブロード! 俺の兄貴は変な術に負けるほど弱くねーだろ!」


仁王が柳生のもう一つの名前を呼んだ瞬間、柳生の動きが止まった。


「私は、ブロードだ……柳生比呂士で、ブロード・ジョーンズ、だ………だから、一つの名前で…縛られて、たまるか!」


柳生が叫ぶと全身から力が抜けたようで、ぐったりと頭を垂らす。


「ブロード!」


拘束をそのままに、仁王が柳生に駆け寄る。


「助かったよ、マサ。ありがとう」


息を切らしながらも、顔を上げた。
それを見た仁王は安心したように拘束ごと発動を解き、柳生を受け止める。
そして、赤也と戦っている幸村にアドバイスを投げかけた。


「セイ! 名前だ! 名前で縛られちょる! もう一つの名前で呼びかけろ!」





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