梔子隊

□第八話
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「言われてみればそうだな」


丸井もそれに同意する。


「俺達だから、としか答えたくないぜよ」


柳生が答えるだろうと思っていたのだが予想外に仁王が答えた。


「………そうですね」


それに柳生も同意する。


「何故だか理由を教えて貰ってもいいかな?」


副隊長としてどこか拒めない恐怖を纏いながら三人に尋ねた。


「………そうですね……敵の術から逃れる為の保険、とでもいっておきます」


額にうっすら冷や汗を滲ませながら柳生が答える。


「何故?」


もう一度同じ問いをする。


「………敵が術を使うのに名前が必要だからです」
「言いたくない事と名前が関係あるって事?」
「…………はい」
「そう」


それを聞くと周助は何時もの雰囲気に戻った。


「ならそれ以上は聞かないでおいてあげるよ」
「いいのかよぃ」
「うん。ブン太にも聞かれたくない事あるでしょ?」
「まあ、なあ……」
「後は僕に任せてブン太は対策をお願い」
「へいへい。んじゃ、柳生ちょっと失礼するぜぃ」


柳生に何かペン状のものを向けて霊圧等のデータの採取をする。
別室に寝ている赤也にも同じ行為をすると、自分の研究所がある尸魂界へと帰って行った。


「柳生、もう横になりんしゃい」
「いえ。未だ大丈夫です」
「だーめ。お父さんが無理したら子供も真似するでしょ」
「それに今は休めるんじゃから休め」
「………はい」


柳生は二人に説得して渋々寝室に入って行った。


「柳生がお父さんなんだ。って事は切原君と仁王君が子供?」
「なんでわしも子供なん。子供は赤也一人で十分じゃ」


仁王はわざとらしく不貞腐れる。


「クス、ごめんよ。それで、これからの事だけど」


その一言で和やかだった空気が一変して緊張感で張り詰めた。


「ブン太には敵からの対抗策やそれに準ずる道具・術式の開発をしてもらうから今後立海担当は精市一人になる」
「俺一人か…ちょっと自信ないな」


少し悔しそうな表情を浮かべる


「だから今の所一番平和な比嘉担当の二人のうちどちらかを中心に、関東圏にいるメンバーが日替わりで護衛に当たる」
「一応俺も学校に結界を張っておくナリ。それと、俺ん家と赤也ん家にも」
「柳生君の家は?」
「俺んちに泊ってもらう。妹ちゃんやオトンに罪は無いかんのう」
「へえ、意外と気にしてたんだ」


少々特殊な家庭である事を知っている幸村は新しいおもちゃを手に入れた子供のような表情をしていた。


「気にしちゃ悪いか」
「べつにー。柳生も同じ事思ってるといいね」


仁王はフン、と鼻を鳴らすとリビングを出て行ってしまった。
楽しそうに笑っている幸村に周助は首を傾げるも今決まった事を報告しに尸魂界へと戻って行った。





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