梔子隊

□第十三話
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―――――





「でも、あの作戦は誰か囮が必要だよね」
「だからって彼らに頼むのは………」


偶然二人の話を聞いてしまった彼が声をかける。


「俺ならリスク無く囮になれる」
「リスク無く? リスクはブン太が一番高いけど、皆平等の筈では?」
「特定の人しか知らない秘密を使えば、リスクは無い」
「それでも………」
「分かりました。貴方を信じます」
「ありがとう。それと、もう一つ――――」




――――――





立海地区の街中を黒髪に天然パーマをした立海生が歩いていた。
肩にはテニスバックをかけて。


「『切原赤也』」


どこからか現れた劉陶弥に声を掛けられその立海生は足を止めた。
そして、手にしていた斬魄刀で切りかかる。
それをその立海は同じく斬魄刀で受けて、ようやく二人は対峙した。


「残念、俺は赤也じゃないよ」


立海生は義骸を脱いで現れたのは梔子隊が仕事の際使う物とは異なったデザインの仮面を付けた幸村だった。


「貴様は……」


仮面を外し、梔子隊本来の仮面を付ける。


「挨拶しておくよ。俺は特殊14番隊隊員、幸村精市。そして、この世で唯一君の斬魄刀の能力が通じない男の名前だ」


怪訝そうに眉をひそめると己の斬魄刀を解放する。


「奪え、無月」


だが、幸村は顔色一つ変えずに斬魄刀を弾き飛ばす。


「なに?!」
「ふふふっ。俺の名前は『幸村精市』。この世での本名だよ。でも真名じゃない」


そして、再び刀をぶつけあう。


「っち、そこまで知られてたか」
「この世界や尸魂界では真名なんて使わないから隊長位しか知らないんじゃないかな?」


その頃、二人を囲う様に四本の柱が打ち込まれていた。
その四本の柱に丸井とリョーマが特殊な詠唱をかけて結界を張る。
すると、結界内が別空間へと姿を変えた。


「ま、こんなもんだろぃ」
「精市、大丈夫かな……」
「俺達の部長だぜぃ? 策もなく敵と戦う事はしねーよ」
「けど、一番新入りだし……」
「大丈夫だ。アイツの修行の速さは常人より早かったし、元々ある程度出来てた。つまり、どういう事か分かるか?」


リョーマは少し考えて言葉を漏らした。


「元々、戦場で戦っていた」
「そう。んで、今まで一緒に戦ってたらしい赤也と共闘して思った事は、『一緒に戦ってたにしては精市は弱すぎる』って事だ」


丸井はつまり、と一度言葉を区切る。


「一番戦力にならなかった精市は策を巡らして戦ってきた。そういう風に考えられねーか?」
「………ブン兄、だったら精市の策が尽きないうちに早く合流しよ」
「だな」


二人は頷き合うと瞬歩で幸村の元まで駆け抜けた。






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