戯言な戯れ事

□淕つの軋み
2ページ/6ページ

次の日


「亮さん、ちょっといいッスか?」
「どうかした? ダビデ」


ダビデに呼ばれて人気のない所に呼び出された。


「昨日の事なんスけど」
「昨日?」
「昨日なんか、怪しい人と争ってませんでした?」
「………もしかして、俺位髪が長くて拘束服着てた?」


しばらく考えた後…………いや、考えた振りをした後、出夢の特徴をあげた。


「ッス」
「あーあ、なーんだ。見られてたんだ。アイツは出夢って言って俺達の親戚なんだ。あれは遊んでただけ。大型犬にじゃれつかれてた様なものだよ」
「そう、なんですか? そうには……」
「そうなの。他には何か見た?」
「いえ……」
「そう、ならもういいね。そろそろ戻らないとサエ達が心配する」


途中で氷のように冷たい視線をダビデに向け、先に皆の元に戻っていった。


「……遊んでただけならなんで、あんなに恐ろしいんですか? なんで、あんなに怖いんですか? なんで、動けなくなるんですか? なんで恐怖を感じたんですか? なんで、あんなに不動でいられたんですか? なんで殺されるって思ったんですか? なんで、あんなに冷たい眼をしていたんですか? なんで、それを俺に向けるんですか?」


ダビデの疑問は空に消えて行った。







皆が練習をしているその時、氷帝に一人の男性が近づいてきた。


「すみません」
「アーン? 此処は関係者以外立入禁止だぞ」
「いえ、一つ確認したいのですが、『跡部景吾』は貴方で?」
「ああ、そうだが?」
「なら…………死んでください」


キラリと刃が光り、派手に血が飛び散る。


「なん……だ………? これ………」


そして、何が起きたか解らずにその場に倒れ込んだ。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ