IFの世界 〜梔子隊編〜

□第一話
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光が収まり、回りを見渡すとそこは見ず知らずの森が広がっていた。


「なんやねん……今の……。ってか、ここ……どこや?」


訳も分からず森の中を歩いていると、見覚えのない化け物が現れた。


「虚……?」


向こうは財前に気が付いていない様で、気配と霊圧を消して斬魄刀を構える。


「ふっ……!」


そして一息に切り裂く。
破裂音を響かせて謎の化け物は消滅した。


「? いつもとちゃう?」
「君! 爆発があったみたいだけど、大丈夫?」


不思議そうに首をひねると、一人の少女がやってきた。
黒い服に身を包んだ、黒髪ショートヘアの少女が空から。


「まあ、はあ……」
「あら? AKUMAの残骸……。まさか貴方、AKUMAを倒したの?」
「悪魔? …………ああ、さっきの虚っぽい奴ん事か。倒したで」
「本当に?! なら、その刀がイノセンスなのかしら…それとも、仮面の方?」


目の前の少女から霊圧を感じないのに、死神が見えている事に疑問に思った。
だが、現状を把握するにはちょうどいい。と判断した財前は少女に質問をした。

「ここ、どこや? 眞中市やあらへんやろ」
「マナカシ? 私の知る限りこの辺りにマナカシって地域は無いわよ」
「え?」
「ここはイタリアのユーヴィルラングラーよ」
「は……!?」


予想もしてなかった答えに目を見開いて驚いた。


「ちょい、待て……」
「?」


頭の中で有り得る可能性を色々と浮かべる。


一つ目はあの歪みが外国に繋がっていて、不慮の事故で来てしまった。
二つ目は此処が尸魂界の様な場所。
三つ目は一番有り得ない事だが、現世に良く似た異世界に来てしまった。


今考えうる可能性の中で一つ目と二つは無い。
理由は簡単。
財前が英語を喋れない上に、霊圧と呼べる物が存在していないから。
その為、消去法で異世界という可能性だけが残った。


「有り得へん………」
「どうか、したの?」


驚愕に捕われていると、少女は心配そうに声をかける。


「異世界とか………有り得へんやろ………」


だが、財前には少女の声が届いていない様でただ一人呟いた。
少女にもその呟きが聞こえた様で何か考えると、財前に一つの提案をする。


「ねえ、行くところが無いなら教団に来ない?」
「教団?」
「そう。黒の教団には一部の人しか知らないんだけと、『異世界支部』っていうのがあるの。だから帰る手がかりが見つかるかもしれないわ」
「………やったら」
「私はリナリー・リー。黒の教団所属のエクソシストよ」
「梔子隊所属、財前光。死神や」







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