IFの世界〜偽りの真〜

□第二話
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幸村と赤也が互いにそうだと知ったのは、赤也が小学校に入学した頃だった。


その日はとても良く晴れており、昼寝には持ってこいな気温であった。
そして、時刻は3時間目の開始時刻をゆうに越している。


「zz………」


なのに赤也は屋上でのんびり昼寝をしていた。
カルロとしての記憶を持つ赤也にとって、小一の勉強は退屈な物でしかない。
その為、赤也はこうして時々サボっているのだ。
そこに一人の少年が近付く。


「………誰だ」
「君、起きてたの?」
「知らねぇ気配がすれば嫌でも起きる」
「へぇ。君もかい」


体を起こし、乱入者を睨みつける。
乱入者の小学生らしからぬ眼の色を見た瞬間、赤也の体は警戒体制をとった。


「…………君は何者だい?」
「…………それはこっちが聞きたいね」


赤也から放たれる殺気を感じてか、乱入者も警戒の色を放つ。


「君、名前は? 呼び名が無いのは寂しいからね。俺は幸村精市」
「精……。切原赤也だ」
「切原赤也、か」


赤也はセイに似た名前に、幸村はカルロのイノセンスを表しているかの様な名前に、それぞれ親近感を覚えた。


「今日は名前が聞けただけで満足してあげるよ、切原赤也君」


親近感を感じた事に満足したらしい幸村は、怪しげな笑みを浮かべて屋上を去った。


「アイツ…………まさか、な………」


自分と“同じ”である可能性を捨てきれない赤也は、再び横になり、今度は物思いに耽った。





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