IFの世界のIFの話

□家族の迎え方
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言い切るか言い切らないか位のタイミングでカルロは飛び出した。


「え、ちょ、待った!」
「待たない!」


相手は戦闘能力が皆無の様で、最初の一・二撃は辛くも避けるがそれ以外は弱い者虐めをしているかのように全て当たった。


「はぁ、はぁ、はぁ………」
「よっわ! 本当にコイツは此処の主?」


止めを刺さずに、剣を鞘に収める。
暫く辺りを見渡し、せっかくだし、探検してから帰ろうと思い、手近な部屋に入った。
すると、その部屋の奥から一人の青年が出て来た。


「ルーディーを倒したの?」

青年はカルロに尋ねた。


「ルーディー? ああ、さっき倒したこの館の主か。噂の割には弱すぎ」
「そう。けど、彼が弱いのは俺も同感だな」


どこを見ているのかなんて解らない。
こっちを見ているはずなのに何も見ていない。
そんな青年にカルロは聞いた。


「アンタの方が強いの?」


青年はそれでもカルロを見ながら見ていなかった。


「強いかどうかやってみる? 俺、ルーディー以外の人間を知らないから強さが解らないんだ」


青年にとってみれば本音で真実であるがカルロにとってそれはただの挑発だった。


「潰す!」


鞘から剣を抜き、切り掛かる。
攻撃は当たったはずだった。
この青年が相手でなければ。


「何処を攻撃してるの?」


カルロの眼には確かに青年を切っているし、声も目の前で血を流してる。


「ああ、視覚をやってしまったんだね。その様子だと聴覚もかな」


ぱちん。と指を鳴らすと青年はカルロの目の前から消え、カルロの背後に現れた。


「なっ?!」
「ついでに触覚も貰っておくよ」


そしてそのままカルロの腕を掴む。
それを全力で振り払うが、触覚が奪われてしまった影響で剣を飛ばしてしまう。


「え………」
「それじゃあ、さよなら」


触覚を操り、カルロに偽物の激痛を与える


「が、は………」


そして、その痛みに耐え切れずに意識を飛ばした。






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