IFの世界のIFの話

□財前誕生日記念
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俺は気が付いたらここ、第80区更木で『生活』していた。


「出たぞ! 『野犬』だ!」


大人がそう叫びながら俺を殺そうと、刀を振り回す。
俺はそれを避けると、大人の喉仏を食い破る。


「ぺっ。グルルルル………ガァ!」


他にもいた大人を喉を潰したりして全て殺し、食料を片手にピンクの子の元まで帰った。
なぜだか知らないが、更木と草鹿の間にいたその子もお腹が空くらしく、気まぐれでその子に食料を分けている。


「きゃはは」
「………」
「うー?」
「………グル」
「きゃはは!」


『野犬』と呼ばれている俺とは違い、ピンクの子は良く笑う。
背丈も、住んでる環境も体の作りも俺と対して変わらないと言うのに。
俺はピンクの子の様な『声』の出し方を知らないから代わりに喉を鳴らす。
ただそれだけなのにけたけた笑う。
『餌』を食べ終わった俺は、ピンクの子を置いて最近お気に入りの寝床へと向かった。


「!?」


寝床で俺が見たものは、何者かに荒らされた跡だった。
こんな事をする大人はいないし、子供はピンクの子だけだ。


―― 誰がこんな事を ――

犯人と思わしき生命体が閃いた瞬間、俺は走り出した。
本能的に野生の勘がそう告げたから。






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