IFの世界のIFの話

□僕らはこんなに大きくなりました
1ページ/6ページ

二番隊の隊員が二人、書類を片手に十一番隊隊舎に来ていた。


「すんませーん、どなたかおりますかー? 二番隊の者ですー」


脱色をかけた様な金髪の死神、謙也が声を上げた。


「……うっさ」


かったるそうに黒髪にカラフルなピアスを付けた死神、光が謙也に聞かれない用呟く。
暫く待っていると、中からおかっぱ頭の死神、弓親が現れた。


「二番隊が何の用? 僕達、こうみえても忙しいんだけど」
「これ、うちからの書類です」
「そう。有難う」


弓親に書類を渡し、さて帰ろうとした瞬間


「ただいまー!」
「お帰りなさい。草鹿副隊長」
「あのね、あのね、びゃっくんがコンペイトくれたの!」
「よかったですね。ですからそろそろその人から離れてあげてください」


帰ってきたやちるが光に乗った為、叶わなかった。
そこで漸くやちるは自分の隊員ではない事に気が付いたらしく、光の匂いを嗅ぎ出す。


「な、何ッスか!?」
「『野犬』………?」
「えっ………な、なんで……その名前…………」


謙也に拾われる前の、何も持っていなかった時代-とき-の名前を出されて、動揺をあらわにする。


「久しぶり……だね。私の事覚えてる? 言葉を覚える前の私を」


そこで漸くやちるは光から離れ、自分の顔を見せた。


「ピンク………? ………! まさか、あん時の赤ん坊?」
「そうだよ」


光がやちるの事を覚えていたのが嬉しかったらしく、いつも以上の笑みを咲かせた。


「私、剣ちゃんに名前貰って『やちる』って名前になったんだ」
「そか。俺は『光』言うねん。謙也さんが『光』って名前付けてくれたんよ」
「光……いい名前だね!」
「やちるかてええ名前やん」


それとなく事情を知っている謙也が微笑ましそうに二人を見守り、何も知らない弓親はどうでもよさそうに、隊舎内へと戻っていった。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ