IFの世界のIFの話
□僕らはこんなに大きくなりました
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四天宝寺のレギュラーへと簡単にやちるを紹介して、ウォーミングアップを始める。
謙也の義魂丸が予想を違わない驚きを光に見せていると、学校的には予定通りに光的には予想外の氷帝が到着した。
「草鹿副隊長!? なんでいるんだC!」
「聞いてへんで………」
「?」
意外な存在に、ジローは驚き、侑士はため息をついた。
「今日知ったんスけど、俺ん幼なじみみたいなモンッスわ」
「幼なじみ……? ああ、『野犬』が唯一心開いとった奴か」
伊達に一つ屋根の下で暮らしてた訳ではない侑士が、理解し納得した。
「???」
「ジローには後で教えたるわ」
話についていけないジローはかなり困惑している。
「ひー君、その死神達は知り合い?」
「おん。義理の叔父に当たる侑士さんと、その同僚の芥川さんや」
良く分かってはいないけれど、ジローは挨拶に応じる。
「芥川慈郎だC〜」
「忍足侑士や。光を拾ったんは俺の従兄弟で、そこの義骸の本体でもある、謙也ちゅう奴やで『名も無き赤子』」
やちるが剣八から名前を貰う前、一部ではそんな通り名で呼ばれていた。
そう呼ばれた時間なんて、ほんの一瞬にも等しい程短かったからこそ、やちるは侑士を警戒し、軽い殺気を放つ。
「あたし達の事、知ってたんだ」
「侑士叔父さんはもう一人の父親みたいなモンやねん。嫌々やったけど、聖霊院も一緒に出てくれたんやで」
「忍足! ジロー! いつまでくっちゃべってる!」
中々アップをしない二人に、痺れを切らした跡部が怒鳴る。
「堪忍、うちの部長がお怒りやから戻るわ」
「またね。草鹿副隊長、光」
「光がええんやったらいつかうちに連れてき」
「いいね! 俺、裕太達とお菓子買いに行きたい!」
戻ろうとしたジローが、一度足を止めて同意した。
「ちゅう訳や。意味は分かるよな?」
「でも、ええんスか?」
「おん。ルキアとかは知っとるし、草鹿副隊長は光の初めての家族や。好きにしい」
「侑士、跡部が!」
少しでも突けば爆発しそうな程、あからさまに怒りに満ちた跡部がこちらを睨んでいる。
「やっば、ほな考えとき!」
二人が跡部に平謝りしているのを横目に
「………従兄弟揃ってお節介焼くなし」
「?」
照れ臭そうに呟いた。
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