Short Story
□初めての恋が終わるとき
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初めてのキスは涙のしょっぱい味がした
まるでドラマみたいな恋
見計らったように発車のベルが鳴ったーーー……
「はぁ……寒いなぁ……」
冷たい冬の風に思わず身を縮める
風を凌ぐために自分のコートをたぐり寄せ、マフラーを口元まで上げた
そして、かじかんだ両手を吐息で温めながら歩いた
「そっか……もうすぐクリスマスだっけ……」
自分の事ばかりで、季節やイベントなんて全然考えてなかったことに気づき、ふと言葉に出してみる
そして、街路樹に巻きつけてあるイルミネーションを見て少し寂しくなった
……もうこの街でクリスマスは過ごせないんだろうな
そう思ったら鼻奥がツン…と痛くなった
もうこのマグノリアの街とも、今日でお別れしなくちゃいけない
私は視線をキラキラと光って綺麗なイルミネーションから、右の手の甲へと落とす
そこにはいつもあったはずの妖精の尻尾の紋章はもう跡形も残ってなくて
私が妖精の尻尾の一員だった証は何も残ってなかった
何故そうなったのか
私がギルドを辞めたから
理由は凄く単純明快
故郷へ戻らなければならなかった、ただそれだけ
別に故郷が近いのならギルドを抜ける必要はなかった
だけれども、私の故郷へは電車で優に10時間はかかる程遠いのだ、私の故郷の街とマグノリアは
だからやむを得ず、ギルドを抜けた
私の19年間の人生の大半を過ごしてきた私の家でもあり、居場所
………もう、戻れない