短編小説

□約束の証
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「いくぞ、里佳」
「うん!」

今日は入学式だ
高校だがな
中学の時のように
里佳を迎えにきたんだが…

「修ちゃんどうかした?」
「あ、いや、なんでもない」

…思わず見入ったなんて
言えるわけないだろ…
里佳のブレザー姿は
はじめて見たが
すごい似合ってる。
久しぶりに会った里佳は
少し大人びた気がした

「ほら、いこっ」
「ああ」

「なんだかかわったね」
「なにがだ?」
「修ちゃん学ランじゃないからなんか雰囲気違うね。似合ってる!」
「なんだ…里佳もか…」
「へ?」

しまった…言ってしまった
「あ、いやその…里佳も…制服似合ってる」
「あ、ありがと」

なんだか照れ臭いな…
恥ずかしさを紛らわすのに
里佳の手に指を絡めた

手を繋ぐと指に感じる
冷たさがうれしい

2人の約束の指輪。

よくあんな恥ずかしい事を
言えたなと今では思う
あれは中学を卒業して
家に泊まりに来た時だな…

───────────

「卒業しちゃったなぁ」
「そうだな」
「…学校ないとあんまり会えないね」
「いつでも会えるじゃないか」
「それがさぁ…」
「どうした?」
「春休みの間だけなんだけど大阪に戻らなきゃだめなんだ」
「そうなのか…入学式まで会えないのか?」
「そうなっちゃうね…」

さみしそうに俯く里佳
事情があるんだろうが
会えないのはつらい

…なら、今しかない

「へ、どしたの!?」
「前、向いててくれ」

里佳を後ろから抱きしめ
後ろの机に置いてある
箱を手繰り寄せた

里佳の手に俺の手を重ねて
里佳の左手の薬指に
箱の中身を通した

「修ちゃん、これ…」
「約束だ」
「え?」
「どれだけ遠くにいても、心はずっと傍にいるから。だから…里佳、ずっと一緒にいてくれ。これはいつかのための予約、な」
「そ、それって」

里佳の言葉を遮るように
口をふさいだ

「約束、な。」
「ーっ// は、はい…//」

──────────

思いだしても恥ずかしい…
自分の指をみるたびに
お揃いの指輪

里佳…絶対幸せにする
ずっと一緒だからな?


-end-
 

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