短編小説

□おかゆのぬくもり
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里佳の体調を考慮して
今日はいつも以上に
ゆっくり歩く
そのせいか
帰り道が長く感じた
これはこれでいいな
なんて、不謹慎だな…


修「里佳、無理するなといっただろ」
里「ごめん…足は大丈夫だったんだけどな」
修「明日、休まなくて大丈夫か?」
里「大丈夫だよ!今日ゆっくり寝れたし」
修「そうか。夜もちゃんと寝るんだぞ」
里「うん!」
修「…今日の夕飯、俺が作ってやる」
里「え、いいの?」
修「ああ、ちゃんと休んでもらわないと困るからな」
里「修ちゃんの手料理はじめてだね」
修「とはいってもおかゆだぞ?」
里「いーの!料理は気持ちだよ」
修「そうか…なら気持ちを込めて作らないとな」
里「楽しみだなぁ」


里佳が笑顔かわいいな
うれしそうな顔を見て
がんばらなければと
強く思った
いつも以上に
丹念におかゆを作ろう
…でもあくまで
おかゆだからな
シンプルに作ろう


修「里佳は梅干と卵どっちも好きだったよな」
里「うん!覚えてたんだ」
修「当たり前だろ。それじゃあ作るから待っててくれ」


俺はキッチンに向かい
おかゆを作り始めた
里佳が向こうで
鼻歌を歌っている
今上機嫌だというのが
すぐにわかる
里佳は昔から
うれしいときは
鼻歌を歌う癖があるんだ

里佳の鼻歌を聞きながら
俺もなんとなく
うれしくなって
思わず歌いだしていた


里「修ちゃんが歌うの珍しいね」
修「え?ああ、声でてたか」
里「うん!修ちゃんが歌ってるのほっとんど聞かないから今日はいい日かも!」
修「聞きたいならいつでも歌ってやる」
里「じゃあ今度カラオケいきたい!」
修「ああ、次の休みに行こうな」


そういいながら
完成したおかゆを
里佳の前に持っていく


修「ほら、できたぞ」
里「やった!梅干だぁ!」
修「食べやすいように種は抜いてほぐしてあるからな。まだ熱いからちゃんと冷まして…」
里「はふっ熱っ!んー、でもおいしい!」
修「だからいっただろう…まったくしょうがないな。…ほら、あーん」
里「え、い、いいよ!」
修「いいから、口あけろよ」
里「あ、あーん…ん、おいしいっ」
修「よかった、作った甲斐があるな」


よろこんでくれたようだ
作ってよかったな
さすがにあーんは少し…
いや、かなり…
恥ずかしかったが…

それから里佳は
冷ましながら
おかゆを食べ終えた

里佳の目がなんとなく
トロンとしているな
眠いのだろうか?


修「里佳、眠いのか?」
里「んー、なんかおかゆで体が暖まって眠くなってきたみたい」
修「なら今日は寝るか?」
里「そうしようかな」


俺は里佳を連れて
部屋に入り
ベッドに寝かせた


修「じゃあ、おやすみ。俺帰るから…」
里「…今日は、一緒に寝てほしいな」
修「いや、それは…」
里「だめ?修ちゃんと一緒にいると安心するの」
修「…わかった。じゃあ一緒に寝ようか」
里「うんっ。ちょっと狭いけど…ごめんね」
修「里佳と一緒なんだ。贅沢はいわないさ。それじゃ、ゆっくり寝ろよ」
里「うん、おやすみ、修也…」
修「おやすみ里佳」


急に名前で呼ばれると
ドキドキするな…
それにまさか
一緒に寝るとは
思っていなかった…

手が出そうになったが
気持ちよさそうに
眠る里佳を見ると
何もできなかった


修「抱きしめるくらい…いいよな?」


寝ている里佳から
返事があるわけないが
里佳を抱きしめて
一緒に眠った


-end-
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