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□ワガママ 後編
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神楽に追い出され沖田は愛用のアイマスクをつけてソファーに寝転がっていた。
「…眠れねー」

沖田は頭を掻きながら体を起こし神楽が入っている風呂場の方を向いた。



チャプン……



そう。
これが沖田の睡眠を邪魔(?)している原因だ。

「音がまる聞こえでぃ…」

この部屋には沖田しかいないので余計聞こえてしまう。
聞いてはダメだと思っても聞こえてしまい沖田はなかなか寝付けないでいた。
そしてぼんやりと天井を眺めた。

(そーいやチャイナって女としての自覚あんのか?男と二人きりで一つ屋根の下にいて、その上堂々と風呂入りやがる…。)
確かに神楽は大食いで毒舌で色気なんてそれほど無いが、立派な女の子なのだ。

(……旦那と毎晩こんな感じだから慣れてんのか…?)
そんな事を考えていると沖田はだんだん苛立ちを感じた。

それを紛らわすように再び目を閉じると頬に滴が落ちた。
目を開けると髪から滴を垂らした神楽が顔を覗き込んでいた。

「なに他人の家で堂々とくつろいでアルカ。さっさと風呂に入るヨロシ。」

沖田はそのままニヤリと笑った。
「それはワガママですかぃ?」

「まあそうアル。この神楽様が風呂に入って欲しいって言ってんだヨ。さっさと入るネ。」

神楽は腰に手を当ててフンッと笑った。

「じゃあコッチからも命令するぜぃ。……髪ちゃんと拭きなせぇ。」
「…は?何アルカいきなり…。」
神楽はキョトンとした顔で沖田を見た。

「その…あれだ。風邪ひくだろぃ。」

「……なんかお前がそんな事言うなんて変アル…。ちょっとキモいアル。」
変なものを見るような目つきで神楽は沖田を見た。
その瞬間 沖田は胸に鋭い物が刺さる感覚を覚えた。

しかし、風邪がどうのこうのという理由で神楽に髪を拭かせるわけではない。

髪をおろして何気に濡れている髪からシャンプーの香りを放っている神楽には色気があるからだ。

(やべぇ……。髪おろしてるチャイナとかあんま見ねーし、なんかスゲー可愛い…。襲っちまいそうだ。)
「…いいからさっさと拭きやがれ。命令は絶対だろぃ?」
顔を赤らめながらも理性を保つ沖田は神楽にまた言った。


「う〜……。何かめんどくさいネ。お前が拭くヨロシ。」

神楽はそう言って、首に巻いていたタオルを沖田に突きつけた。

「はぁ!?何で俺が吹かなきゃなんねーんだ!」
「神楽様の命令は絶対アル。黙って従うヨロシ。」

「おめー俺の命令にまだ従ってねーじゃねーか!」
「だから髪を拭けばいいんダロ?それをお前にやってもらう事で実行するアル。後払いヨ。」
「………。」
沖田は暫く黙り込み深くため息をついて神楽のタオルを受け取った。
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