宝物殿

□遠のく君を見つめて
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この夜、井宿はリビングでゆったりとソファに座りながらある雑誌を捲っていた。
掲載されてるのは、『着回し 30days』・『簡単・大人可愛いヘアメイク』・
『今流行のスウィートカフェ』等と言った内容である。完璧に女性向けの雑誌だ。
何故、井宿がそんな雑誌を手にしているかというと、翼宿と柳宿の二人から勧められたからであった。
初めは、どうして自分に?と、戸惑ったが、あるページを言われて捲ってみると、理由は明らかになった。
そのページに掲載されてる特集は『街で見かけたイケ女子』たるもので、
タイトル通り、街中に居た可愛い一般女性の紹介が掲載されていた。
その中に、見覚えのある女性が居たのだ。恋人の雪だ。
しかも気恥ずかしいそうに微笑んで映っている雪のスナップショットは、何故か他の女性よりも枠が大きく、
共に掲載されていたプロフィールとコメント欄もより派手にレイアウトされていた。
まさか自分の知らぬ処で雪が雑誌に載っていただなんて。井宿は驚いた。
雪からは一言も聞かされてなかった為、その驚きは倍だ。
どうして何も教えてくれなかったのだろうか。雑誌に載る事くらい、決して疚しいく無いのに。やはり単純に恥ずかしかったのか。
井宿が雪のスナップショットを眺めながらあれこれと考えていると、当の本人の声が後ろか聞こえた。
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