宝物殿

□キリリク小説・ゆっきゅん様より☆
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わいわいと賑わう食堂に居て―
なずなと朱雀一同が宴を楽しむ中、どこか落ち込んだため息が混じり込む…

「ねぇ…ちょっと…」

「あぁ、せやな…」

すぐにそのため息に気にかけたのは、柳宿と翼宿の二人。
チラチラっとそのため息の主に目を送り、どうしたのかと耳打ちするかのように
心配した口調で二人は、話し出した。

「一体、どないしたんや…なんや、あいつにしては、珍しいのぉ」

「ホントよねぇ〜さっきから、呑んではため息、呑んではまた、ため息の繰り返し…」

「せっかくの宴やっちゅーのに!」

「ちょっと、なずな?あんた、何か知らない?」

『え?何?どうしたのぉ?』

柳宿の隣で唐突な質問に驚く顔を見せるなずな。

「どうしたも何も!井宿よ!さっきから、らしくもなくため息ばっか!」

『なな、何で、私に聞くの?』

「えー!だって、ねぇ?」

そう言って、翼宿に視線を送る柳宿に翼宿も“せや!せや!”と同意を口にする。

「井宿の事、一番、知ってるのは、あんたじゃない?なんてったて、今の二人は恋人同―」

『待って!柳宿!!私と井宿は、別にそんな関係じゃ…』

「なずな!今更、何、言うーとんねん!」

「そうよ!翼宿の言う通りだわ!」

『でも、ホントに…だって、私…こ、告白もしてないのに…』

「あら?でも、確か、昨日のあんたの話じゃ…」

『え?昨日の話?』

「とぼけないでよ!ほら!井宿に言われた言葉!」

『井宿の言葉?あぁ!あれは…そんなんじゃ、ないよ…』

なずなの様子に柳宿がピン!っとひらめいたかのような表情を浮かべ、
思わず、クスっとふき出した。

「なんや?どないしたんや?柳宿?」

「あぁ、そう言う事ね!それで、井宿ったら!」

『え?ええ?何?』

「全く!何してるのかしらね?あんた達は!」

『ちょっと!教えてよ!柳宿!!』

「嫌よ!知りたければ、直接、井宿に聞いてみなさい!
“なんで、そんなに落ち込んでるの?”って!」

柳宿がお得意な悪戯笑みでそう、なずなに言うと
明るい声で井宿に呼びかけた。

「井宿!何か、なずながあんたに聞きたい事があるみたいよ!」

「だっ?オイラに?何なのだ?なずな?」

『え…待って、柳宿ぉ!!』

「いいから!いいから!此処では、何だし!二人っきりで話してきなさい!」

バシっとなずなの背を叩き、井宿の元へとやると
井宿となずなは、どこか、しぶしぶとした態度で、表へと出て行った。





「ホントに世話の焼ける二人だ事!」

「なぁ、柳宿?大丈夫なんか?あの二人…」

「あら?心配なら覗きに行っちゃう?」

「アホ!趣味、悪い事、言うなや!!」

柳宿の言葉とケラケラっとした笑い声に翼宿が呆れるようなツッコミを入れた―
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