宝物殿

□雪と翼宿と桃と呪い
1ページ/5ページ

「翼宿っ、お願いがあるの…」

わざわざ翼宿の部屋を訪れ雪は口を尖らせる


「井宿はどうしたんや?」

「出かけたっ…、夕方まで出かけてくるって…、連れてってもらえなかったの!」

ジタバタと悔しがる


「ふ〜ん、で?」

「で、って冷たい!何、それ!」

「せやかて、オレにどうしろと」

「付き合ってよっ!」

「は?」

「だから街に連れてって?井宿を探すのっ!」

「イヤや!何でオレがそんなこと」

「…だったら一人で行く!」

「はぁ?歩けんやろが、迷うで?」

「…だから付き合ってって言ってるのに」

と雪は大袈裟に顔を覆い泣き出した


泣いているフリだというのは丸わかりであったのだが


「…ええ、もう!わかったって」

翼宿が折れるのを待っていたかのように雪は顔を上げる

「ありがとうっ!やっぱり翼宿にしか頼めないものっ!」

それは

翼宿しか引っかかってくれないもの!

と聞こえる気がした…


…ズルイわ!!やっぱ泣いてへんばかりか、その満面の笑み

「じゃぁ行こう!すぐ行こう!」

ブツブツ文句を言う翼宿の腕を掴み
すぐさま街へ向って歩き出した




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ