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□花より○○
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わりと一年中温暖な紅南だが、最近特にぽかぽかとしてきた。たぶん、春なんだろうと思う。

勿論今日も天気は良好。回廊に差し込む日差しに目を細めながら、雪は清々しい気持ちで自室の扉を開けた。

「はあい」

「ぎゃっ……!?」

思わず叩きつけるように閉めた扉に、何かがぶつかる手応えがある。しまったなぁと思ったがもう遅く、仕方がないのでゆっくりともう一度開けてみた。そもそもこのままだと部屋に帰れない。

「……痛いわね」

「ごめ……いや、ごめんなんだけど、何で柳宿がいるの?私の部屋に――」

「ごちゃごちゃ言わんと、さっさ入るっ!」

「ぎえっ!」

「さっきから色気ない呻き声ばっかりあげんじゃないわよ!」

それからしばらく、部屋の中は大騒動だった。そのとき何が起きたか、雪が語ることは恐らく一生ないだろう。
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