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□発情適齢期
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「つるぎぃ、なあ、駄目?どうしても?」
猫なで声を出して背中に擦り寄って来る霧野先輩。
「……」
適当に手だけで対応していると拗ねたのかベッドに潜り込んで、剣城のバカとか意地悪、とか罵倒してくる。
「ね…もう1週間も血飲んでない、……」
そう言って、ばさばさと布団や毛布を動かしている。
暫くすると、僅かながらにうめき声のようなものが聞こえて、布団が上下し始めた。
「…先輩?
寝たんですか…?」
布団を剥いでみれば、息苦しそうに荒く呼吸をし、明らかに顔色の悪い先輩がまるくなって寝ていた。
「大丈夫ですか、先輩?」
と聞いてみると首を小さく降り、頭痛を訴えてきた。
「それ、まさか血飲んでないからだったりします?」
たぶん、と弱々しく呟くとまた口を開けて喋り始めた。
「ホントはっ、剣城の、ほしぃ、けどっ
剣城にこれ、以上めーわく掛けたく無いし…、
…つるぎが駄目っていうならがまん、する…ぅ……。」
苦しそうに肩を動かしながら喋る先輩
「だからって、自分を追い込むのは止めてください…
足りなくてそんなになるならいくらでもあげますから、
ほら、早く飲まないと、…ね?」
「ぅ、……でも、」
「俺は大丈夫ですから。」
ようやくこくり、と小さく頷いた先輩は俺の首筋に弱々しく顔を埋めて所謂、八重歯を突き立てる。
つきん、と一瞬痛みが走るがこの種族の唾液は痛みを和らげる効果があるのか、直ぐに痛みは消えていった。
「ん、ぅ、ふにゃ…」
何故かは解らないが、時折艶っぽい声を出して、俺の首筋に噛みついて、先程開けたであろう傷口から溢れている血を舐めたり吸ったりして少しずつではあるものの、喉を鳴らしながらそれを飲んでいる。