テニプリRoom

□告白
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入学初日、カギが落ちているのを拾ってやったのがキッカケで知り合った忍足侑士という男。
誰にでも優しく、いつも柔らかな笑みを浮かべていることもあって、かなり人気が高いらしい。
かく言う俺も奴に惚れた一人なんだが。
だから、あいつが女どもを引き連れて歩いているのを見るとむかつく。
俺も似たようなもんだけど、俺は女どもに期待を持たせるようなことはしない。
優しくなんてした覚えはないし、笑いかけてやったりもしない。
けど、あいつは誰にでも優しくして、笑いかけてやって、もしかしたら・・・って期待を抱かせてる。
だから、余計にむかつくんだ。

「お、姫さんやんかぁ。」

最近、あいつは俺を『姫さん』と呼ぶ。俺は女じゃねぇって何度言ってもきかないので、最近はもう諦めた。

「忍足、てめぇ教科書忘れたから貸せって言うから貸してやったのに、落書きして返すとはどういう了見なんだ?あ〜ん??」
「あぁ、見てくれたん??俺からの愛のこもったメッセージ。」
「・・・ざけてんのか??もう、お前には絶対に何にも貸さねぇ。」

貸した教科書に書き込まれていたのは、『好きや。どうしたら振り向いてくれるん?俺だけのものになってや。』という言葉。
授業中にそれを見つけた俺は、不覚にも赤面してその後の授業は頭に入ってこなかった。

「で?質問の答え教えて。」
「??」
「メッセージの中にあったやろ?」

質問してくる忍足の顔は真剣で、少し悲しげだった。

「あ・・・。・・・っ知るか!!」

見つめられてることが恥ずかしいことと、自分の気持ちが見透かされているような気がしてついつい冷たい態度をとる。

「姫さんは冷たいなぁ・・・。」

忍足のつぶやきを背に受けながら教室を出た。


部活の時間、忍足の姿が見当たらない。

「おい、岳人。忍足は?」
「ん〜?侑士なら帰ったよ。なんか熱があるとかって。」
「熱?」

(昼間はそんな風には見えなかったのに…。あいつ確か一人暮らしだってこの間言ってたな。熱があるのに一人で大丈夫なのか?)

「跡部、どうした?全然集中してないな。」

榊監督に声を掛けられて部活中なのを思い出した。

(くそっ。気になって部活どころじゃない。…行くか。)

「監督、体調が良くないみたいなので帰らせて下さい。」

心配する部員と監督を置いて、俺は忍足のマンションに向かった。
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