テニプリRoom

□ある朝に・・・
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シトシト降る雨の音で、忍足は目を覚ました。
腕に重みを感じて思い出す。

(昨日は景ちゃん泊まったんやった。)

腕の中ですやすやと眠る美しい恋人を見つめる。

(今日の部活は9時からやったなぁ。)

時計に目をやる。7時を回ったところだった。

(起きるんはまだ早い、か…。外は雨?)

雨なら部活は中止になる。
外を確認しようとして、起きあがる。
そこで初めて、恋人が自分の服を握り締めていることに気づいた。
手を外そうとすると、一層強く握る。

(弱ったわ…。これじゃ外、見れへんやん。)

無理に外そうとすれば出来ないことはないのだが、さすがにそこまではしたくない。
仕方なく、起きあがるのを断念して再び横になる。
恋人を眺めながら、その薄茶色の髪を梳く。ふと、恋人が微笑んだ。

(?起きてる?)

しっかり閉じられている目を見た感じでは、起きているとは思えなかった。
もう一度、同じように髪を梳く、と、やはり同じように微笑む。

(もしかして…無意識で?)

なんだか無性に恋人が可愛く思えて、抱き締めたい衝動に駆られた、そのとき、絶妙なタイミングで忍足の携帯が鳴った。
恋人が起きないように、慌てて携帯を掴む。
幸い、恋人は寝返りをうっただけで、未だ夢の世界にいるようだった。
ホッとして携帯を開く。岳人からのメールだった。

『跡部、いる?雨降ってるから部活は中止だよな?』

恋人が寝返りをうったことにより、自然と服を掴んでいた手も離れたので、起きあがる。
携帯を持ったまま窓に近づき、外を覗く。
とてもテニスが出来るような状態ではなかった。

『結構降っとるし、中止やろ。皆にも伝えといてや。』

手早く打ち込んで送る。ついでに着信音をバイブに切り替えた。
さっき、寝返りをうったために壁を向いて寝ている恋人に目を向ける。

(昨日は、ちょっと無理させてもうたからなぁ。このまま起こさんと、寝かしといたろ。)

体を重ねるときにはいつも、無理をさせないようにと始めは気を使っているのだが、どうしても途中から夢中になってしまって最終的には無理をさせていることを忍足は毎回、行為の後に反省するのだった。

(大体、綺麗すぎやねん。肌は白くて触り心地もええし、なにより、欲情してる跡部の顔は、誰が見たって我慢出来へんよ。なんで、こんなに綺麗なモンが俺のとこにおるんやろ。ほんま、何度考えても奇跡やわ・・・。)

恋人がここに居てくれる幸せを思いながら、ベットの縁に腰掛けて恋人の綺麗な髪を撫でる。
さっきの携帯の音で、眠りが浅くなっていたのか、髪を触る忍足の手を追うように寝返りながら手に顔を摺り寄せる。

(・・・っ、可愛すぎやろ!)

口元を手で抑えながら、必死で犯したい衝動をやり過ごす。

(やっばいわ、マジで。こんなん、誰にも見せられへん。絶対に景吾の寝姿は、俺だけのもんにしとかな。ってか、景吾は絶対に俺だけのモンでいてもらわなな。)

恋人の綺麗な顔と可愛い仕草に朝から煽られまくったが、どうにか理性でそれをやり過ごし、おでこに軽くキスするだけに留め、絶対にこの美しい恋人を手放すものかと心から思う忍足だった。

→跡部編
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