おおぞらをとぶ


□能力者?
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その時女が気がついた。
上体を起こし周りを見回しているが、状況をつかめていない。
見えないのか?

「おい、大丈夫かよい?」

俺は声を掛けたが、この直後の女の反応は予測できなかった。

「マルコ!!」

女は俺の名を呼びいきなり抱きついた。
そしてまた意識を失った。

不意打ちを食らった俺は固まっていたが・・・


誰だ?!何なんだ?!この女は!!
俺はしらないし、見たこともねぇぞ!!


ざわめく船員どもに戦いの始末を言いつけて、俺は気絶した女を医務室に運ぶことにした。



小柄な体に白いローブのような見慣れない服。
一番目をひくのは、獣のような尖がった大きな耳だ。
そしてローブのすそからのぞく猫のような尻尾。

ゾオン系の能力者なのか?
まだガキに見えるが・・・



そんなことを考えているうちに医務室に着いた。


「悪ィな、急患だよい。」

ナース達が寄ってきた。

「あら?」

ナース達は女の耳を見て「可愛いわね」などと言っている。
船医とナース達に事情を話し、くれぐれも油断せぬよう注意を促して、オヤジの元ヘ向かった。



オヤジは興味深げに俺の報告を聞いた。

「ふん、船が丸ごと消える話なんざァ珍しくもねェが・・・」

実際に目撃した本人から聞くというのは流石にないと。
しかもそこから女を連れ出したって?と愉快そうに聞いてきた。

「別に連れ出したんじゃねェよい。事故みたいなもんだい。」

「まあ、会ってみねェ事には始まらねえな」

目ェ覚ましたら連れて来いと。
それまでお前がみていろと言われた。

「了解。」

俺は医務室に戻った。

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