石の記憶


□異界の口
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異界の口…それは大きなほらのある木の様に見えた。
広い草原の真っ直中に現れたそれは、確かにここにはなかったものだ。
街で借りた馬鳥から降りると、その前に立ち見上げた。
異様な雰囲気に、恐る恐る近付いた次の瞬間…身体に浮遊感を感じ、目の前の景色が歪み、真っ白な光が広がっていった。


…気が付くと、私は異界の口の前で倒れていた。
回りを見渡すと、草原には見慣れない花が咲き乱れ、遠くには砦の様な建物が見えた。


起き上がると、純白の鳥の羽が一枚ふわりと落ちた。

(これは持っていなくてはいけない…)

何となくそう思えて、鞄に詰めた。

ここが本当に過去なら、地形は同じはず。

私は街のある方向へと歩き始めた。

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