うみをこえて
□たまごのなかみ
1ページ/1ページ
卵を抱いてベッドに寝転んでいた。
温かいそれは、確実に命を宿したもの。
これは私のいた世界から私のようにやって来た【チョコボ】の卵だと、確信があった。
懐かしい匂いと気をまとっていたから。
でも、でも、もしも、産まれたのが不死鳥だったら…
(マルコの子供なのかな?)
(そうしたら、ママは…)
「なあに考えているんだよい。」
くつくつと笑いながら彼が声をかけてきた。
さっきから俺にも気が付かず、卵に話しかけたり面白ぇと言われ、一気に顔が紅潮するのがわかった。
恥ずかしさのあまり固まっていたら、隣にマルコが潜り込んできた。
背中側から抱き抱えるように一緒に寝転んだ。
「前に言ってたよなあ?
鳥は雌も雄も一緒に卵を暖めるんだろい?」
「俺も混ぜろよい。」
そう言って頭をくしゃりと撫でられた。
(いつか本当に子供が出来たら、あなたはきっと良いお父さんになれますにゃ…)
卵の中身は幸せがいっぱいつまっている…