HUNTER×HUNTER

□約束
1ページ/1ページ



Side.I


久しぶりの休暇を利用して、デートをすることになった。デートの待ち合わせ場所は、ショッピング街にあるカフェの前。
夕暮れを過ぎた町並みは、月明かりではなく仰々しい程の電飾で飾られたショッピング街に照らされていた。

(雨降りそう…)


そう思った数秒後に、ポツポツと雨が降って来た。とりあえず、先にカフェに入って待とうと店の中へ入る。曲は、ジャズピアノをソロで弾いている年配の男が奏でていた。
曲と注目したコーヒーを飲みながら、ナナシと連絡ととるべく携帯を取り出す。
呼び出し音を片耳で聞きながら、雨の降る町並みを見た。

RRR...


「あ、ナナシ?」
「イルミ?どうしたの?」
「雨、降ってきたよ」
「本当!?」
「迎えに行こうか?」
「ううん…。大丈夫、すぐに行くよ!」
「わかった」


...P

電話に出た彼女は、まだ家を出てはいないだろう。待ち合わせに遅れるのは、どうかと思うが今回はあのマイペースに救われた。
雨が降っていると分かれば、ナナシは確実に傘を持って来るだろう。ショッピング街を廻るのに、雨の中傘は必須だ。
安堵のため息をついて、まだ少し湯気が残るコーヒーを口に含んだ。








ナナシを待っている間、ずっと外を見ていた。雨が電飾に反射して、その存在を浮き彫らせる。

(まぁ…、外を見る理由はまた別だけど)


「ねぇ、お兄さん一人?うちらと遊ばない?」
「…」
「ねぇ〜遊ぼうよ〜」
「一人じゃないし、遊ばないからどっか行ってくれる?邪魔」
「なに、コイツ!?超ムカつく!行こ!!」
「うん!!」


昔から、何故か女によく絡まれていた。職業柄、男に絡まれるのなら意味も筋も通るのだが自分は女にも男にも絡まれ易いらしい。
絡んで来る女の対処法は、無視するか本音を言うと決めている。効果はいつも、覿面で直ぐさま二人組の女は、どこかに行った。

(あ〜ウザかった。もう、ちょっとで殺すところだった)


手の平に忍ばせた鍼には、遅効性の毒物が塗り込んである。検査しても、まず見つからない毒物は暗殺屋にとっては生活必需品だ。しかし、後一歩のところで踏み止まる。
勘の鋭い彼女には、人を殺した場合すぐにばれてしまうからだ。折角のデートを、説教で潰したくはない。


「お待たせ!…ん?どうしたの、イルミ?」
「うん、大丈夫。ナナシが、来たから…」
「そんなに待った?ごめんね…」
「いいよ、行こう」


俺の殺戮衝動を抑止できる唯一の存在は、今日も俺が何物か知った上で無邪気に笑いかける。


今日も、彼女は笑い。
俺は、その隣で人を殺す。



(雨に濡れたから、ホテル行きたい…(嘘))
(ごめんね。じゃあ、ホテル行こう)
(心の中でガッツポーズ!のイルミ…)

end

-----------------------
後書き

友達と遊びに行くのに雨に降られた月食の話でした。
しかし、モテるなイルミ。そして、無自覚!!

↓↓反省?[月食×イルミ]
















「ナンパね、俺ならすぐ殺すけど」
「怖っ…!?」


月食が、ログアウトしました。


「俺にナンパするなら気をつけてね…。じゃあ、仕事入ってるから行くね」


イルミが、ログアウトしました。



201205
再Up



.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ