HUNTER×HUNTER
□君の強さを愛しましょう
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Side.H
ぐちゃ…と、何か水気を含んだものが落ちる音に気づけば、そこには床に出来た血溜まりに倒れている自分の彼女の姿があった。
あぁ、またやったのかと幾分冷めた目で物になった彼女の姿を見れば、最後の慈悲で半開きになったままの唇をしゃぶりつくす。ねっとりと甘いキスを止め、彼女を最後にもう一度よく見ようと観察すれば最後の思い出が、血塗れのなんともえげつない姿になってしまった。
大抵、自分は大切な物を壊してしまう。自分の力に堪えられなくて壊れたり、自分で故意に壊したり…。今回の場合は、後者だ。
大切過ぎて、愛し過ぎて…。気がつけば彼女は死んでいた。
しかし、そのことを哀しいと思ったことは一度もなかった。失った物に興味はない。
たとえ、大好き過ぎて殺した彼女も、自分にとっては壊れたおもちゃ程度の価値しか見出だすことが出来なかった。
ナナシとの出会いは、運命にも似つかない偶然だった。
クロロに頼まれたアル人物を殺すために殺しに行ったときに、ターゲットとナナシがいた。始め、ターゲットの関係者かと思って殺そうとトランプを投げたら、見えない壁に阻まれ阻止された。
その後の会話を鮮明に覚えている。
『これ、君がやったのかい☆』
『そう!!見られたら駄目だから貴方も死んでくれると助かる!!』
会話の中で、よくよくターゲットを見れば、四肢を断たれ顔は潰れて判別が難しい程、惨殺されていた。ここまで、この少女が残虐になれるのかと、ヒソカはゾクゾクした。
狂人たちの会話は、面白い程進んでいく。会話というには、似つかわしくない戦闘を繰り広げ勝負は30分を過ぎた頃に止んだ。
『ククッ…♪僕を殺すのは、まだ早いみたいだねぇ☆』
暗闇の路地裏、戦闘があったなどという跡は残さないまま、気絶程度で済ませた少女を連れ去り夜の街に消えて。
その日から半年、自分にしてはよくもった方だ。
ナナシという名前の少女は、イルミと同じ暗殺屋だということがわかると、少女だと思っていたナナシは自分とあまり変わらない年齢だと知った。
ナナシを彼女にして半年。
殺したいのを我慢してここまできたのはナナシが好きだったからで…、過ぎた好きのせいで彼女を殺した。
「待って!!」
後ろから聞こえてきた声に驚きながら振り向く。そこには、血塗れのまま立ち上がり武器を構えるナナシの姿があった。
「やぁ☆まだ、生きていたのかい?」
「私は、それくらいの愛じゃ死なないよ!」
トランプを構えた指は嬉しくて奮えた。だって、壊れたおもちゃがまた動きだしたから。
「私はね、貴方が思う程以上にヒソカを愛してるの!」
「なら、また僕と戦ってくれるかい?」
「当たり前でしょ!!」
彼らは、戦う相手の息の根が途絶えるその時まで闘いを続け、愛し合う。
end
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後書き
ヒソカじゃないし、もっと狂愛っぽくしたかった。
↓↓反省[イルミ×月食]
「本当に俺のこと好きなの…?」
「好きだよ!!」
「俺の小説書いてね?」
「…予定は未定だから〜♪」
「下手な鼻歌やめてくれる?殺したくなる…から」
「鼻歌やめたから、もう寝よう!!」
「どうせ、この前買ったゲームするんでしょ?」
「それもしなきゃ!!」
月食がダッシュで逃げました。
「また、鬼ごっこ?どうせ、俺に勝てないのに」
イルミが鬼ごっこをはじめました。
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