HUNTER×HUNTER
□名前を呼んで
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今日も彼の後を追う。
雨が降った路地裏に、私の求めた人はいた。一見ピエロのような不気味な姿は、彼の狂喜を上手く隠している。
彼が視線に気付いてこちらを向いた。でも、何もしないで去って行ってしまう。
まだ私に力が無いから、彼は私を見てはくれない。少し寂しい思いはするけど、また明日会いに行こうを決意を新たにその場を後にした。
「君、しつこいんだねぇ?」
「…ナナシ」
「君の名前かい?」
やっと彼に話しかけてもらえた。嬉しくて心臓が止まりかけるも、何とか復帰。
彼の問いに首肯して、私は彼に抱き着く。勿論、彼は私を身体から引きはがし無遠慮に殴りつけてきた。
「頭イカレタ子だとは思ってたけど、まさか気違いだとはね…☆」
「…呼んで?」
「ん?」
「私の名前…呼んで?」
彼はまるで汚物を見るように私を睨む。私は、彼に見られているだけで涙が出るのに…。
彼…ヒソカは、私の名を呼ぶ事もせず私の身体を腕で貫いた。辺りに広がる紅を眺めながら、私は微笑む。
私の名を呼んで
-記憶を無くした恋人に何を言っても届かない-
end
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後書き
ヒソカは、彼女を覚えてません。
<おまけ>
*救われたendが見たい方はどうぞ↓↓
目が覚めたら懐かしい景色が見えた。身体を動かそうと思っても、上手く神経に命令がいかない。念で何かされたのだと理解するのに数分かかった。
「起きた?」
「…誰?」
「ヒソカに君のことを頼まれた暗殺者」
ベッドのすぐ横に、見慣れない男性がいた。暗殺者と言った彼から、殺気はまるでない。
「私を殺すの?」
「いいや。監視しか頼まれてない」
試しに聞いた質問は、男性の機嫌を損ねたらしい。ヒソカ程ではないが、彼にも表情があるようだった。
「君は、もしかしてヒソカの恋人だった?」
「…そうよ。彼が行方不明になるまではね」
「やっぱり…。ヒソカと連絡が取れなくなって以来、少し雰囲気が変わったからもしかしてと思ったんだよね」
イルミと名乗った男性は、ヒソカを昔から知っていたみたいだ。私は、イルミに知りうる全てを話した。
話した後は、傷の痛み止めが切れてしまって話せる状態じゃなかったために、少し眠ることにした。
Side.I
『ヒソカ、そこにいる念能力者達は殺さずに連れてきて』
『わざわざそこまでする必要があるのかい?』
『念のためだよ。そもそも、君の不始末だろ?』
『僕は別に困っちゃいないよ☆』
『ストーカーされたいの?』
『…わかったよ』
電波悪い場所にいるせいで、汚い電子音を聞きながらヒソカと話す。血の気がない女性を横目で見ながら、電話を続けてヒソカを強引に納得させたところでぶち切った。
ヒソカの記憶が部分的に消去されて半年が経つ頃、久しぶりかかった電話に出れば内容は酷く簡単だった。
『ストーカーの女を捕らえたが、見覚えがある』
ヒソカは、少なからず動揺していて僕が部屋を尋ねる頃には三分の一は思いだしていた。
多分、念能力でヒソカの記憶は一時的に奪われているだけだと思うが、用心に越したことはない。
ベッドで苦しげに唸る彼女を見ながら、早くヒソカの記憶が戻ればいいと思った。
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更に後書き
この後、ヒソカがボッコボコした念能力者達をイルミが締め上げてヒソカの記憶は無事戻り、ストーカー紛いと間違われた彼女とまた恋人になります。
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