HUNTER×HUNTER

□こっち向いてハニー
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呼ばれて振り向けば、ムスッとしたイルミが私のぬいぐるみを抱えていた。




「どうしたの?」
「…」


私が聞いてもムスッとした表情は変わらぬまま、フンってそっぽを向かれてしまった。
私は、先程まで遊んでいた携帯ゲーム機を充電器に差し込んで彼がいるソファーへと歩く。冬の寒さが滲んだ床を素足で歩けば、足はたちまち氷のように冷たくなって急いでソファーに座り込む。


「ねぇ」
「…」
「…私、何かした?」


それでも彼は無視を決め込んで、私は困り果てるばかり…。
目の前のテーブルには1時間前に持ってきたミルクティーが、冷めきったまま放置されていた。






「ごめん」
「…理由もわからないまま、謝られるの嫌い」
「…だって、何で怒ってるのか話してくれないから」


やっと話してくれたのに、その口は不機嫌を表す言葉ばかりを吐き出した。


ずっと睨み合っても埒があかないから、私は冷えたミルクティーを口に含むふりをして目を逸らす。視界の端に見えたのは、セーブしないまま電源を切った携帯ゲーム機が寂しそうに転がってた。


「イルミが理由言わないなら、私ゲームするけど…いい?」
「…」


理由を言わないまま不機嫌のイルミを横目に、ゲーム機を取りに行こうとソファから降りる。
充電器に差し込んだままのゲーム機を無造作に引き抜いて、先程まで遊んでいたソフトを取り出す。私用の机の引き出しから、二枚のソフトと色違いの携帯ゲーム機本体を取り出して二枚を別々の本体へと挿入した。
両方の電源を付けて、通信対戦モードへと入る。


準備が完了するまでに、ミルクティーを飲み干して新たなミルクティーを入れるためにキッチンに向かった。ついでにコーヒーも煎れて、イルミが座るソファへと持って行く。
カフェイン中毒のイルミは、迷わずコーヒーを受け取って少しずつ飲み始める。
私は、ミルクティーを一口飲んで準備が終わったゲーム機の元へと足を進めた。


二つのゲーム機を持って、ソファに戻る。
出したばかりのゲーム機をイルミに渡してから、私はお気に入りのキャラを選択して決定ボタンを押す。イルミは、キョトンとした表情を見せたけど、目についたキャラを選択したらしい。


バトル開始の表示がゲーム機の液晶に流れた。


こっち向いてハニー
-寂しいなら、寂しいって言えばいいのに-


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後書き

寂しがり屋イルミ×オタク少女。

少女が最初にやってたのはRPG系で、イルミと対戦してるのは格ゲー系です。
段々コツが掴めてきたイルミは、格ゲーオタクになりミルキとはオタク仲間なのに(タイプの違いのせいで)喧嘩します。



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