HUNTER×HUNTER

□巡った結末
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*『巡る想い』の続きですが、シリアスのままがいい方はバックしてください。

















イルミと別れて1ヶ月が過ぎようとしていた。相変わらず、私はイルミに恋焦がれていて最近じゃあ友達にも心配される始末。


早くこの恋に終止符を打たねば、と何度思ってもイルミは私の中から消えてくれなかった。イルミの存在は、私の中で大きかったと別れて気づいた。


「ナナシー、お友達が来てるわよ!」


窓を拭き掃除をしていた私に、誰かが面会に来た。正直のところ、今はそっとしておいて欲しいがそういうわけにもいかない。
仕方なく掃除の手を止め、裏口へと回った。













『会いに来た』というフレーズに、少しだけイルミを期待した私の前にいたのは、付き合いで行かされた合コンにいた名前も覚えてない人だった。


「やぁ!」


彼のせいではないが、疲れと落ち込み具合がより一層深まった。裏口の戸を閉めてしまいそうになるのを必死で抑え、何の用かと尋ねると食事に誘われた。


よく見ると、顔は悪くないし中身だって優しそう。
でも…、私が求めるのはこの人ではない。


「お断りします」
「そう…残念。もしかして、まだ彼が好きなの?」
「はい。悔しいですけど、私には彼しかいないんですよね」


丁重にお断りを済まして、そのまま去ろうとしたら腕をいきなり掴まれた。


「!!」


意外にも力が強く、逃げたいのに逃げられなくて暴れようとするも腕を掴む力が更に強くなったせいでそれすら阻まれた。


「…痛っ!」
「…ごめん」


先程から何故か私は彼に対して違和感を感じていた。喋り方といい、雰囲気といい…誰かに似ている。


「…イルミ!?」


そうだ、私の感じていた違和感はコレだ。
私は、この人に働く店教えてない筈なのだ。確かに、合コンでこの人と会ってメアドも交換したけれど仕事場までは教えた覚えは無い。


「気づくの遅い」
「なんで、そんな格好してるの…?」
「なんで連絡先、コイツに教えてんの?」
「別に深い意味はない…って、いつからこの人なの!?」
「落ち着きなって、お店に迷惑でしょ?」


人の話を無視するトコロは相変わらずみたいだ。まぁ、イルミの言うことも尤もなので移動することにした。




「…それで、さっきの質問の答えは?」


仕事を急遽あがらせてもらった私とイルミは、私の家に来ていた。見慣れて落ち着ける筈の我が家が、今は針の筵のようチクチクと攻撃しているように見えた。


「ただなんとなく…」
「へぇ。“なんとなく”でナナシは教えるんだ」


イルミは大分前に自分の顔に戻っていた。その黒い瞳で、見透かすように私を睨む。


「…」
「何考えてるの?」


ヒュッと、顔の横すれすれに何か通ったと思ったらイルミが仕事で使ってる鍼が壁に刺さっていた。


「あ、危な!何するの、イルミ!」
「ナナシが無視するからでしょ?」
「してないよ!そもそも、私が誰と友達になったって今のイルミには関係無いでしょ!」


自分でいった言葉に、これ程まで傷ついたのは生まれて初めてだった。
私達は、もう恋人ではない赤の他人だと自分で宣言してしまった。


「関係無いか…。あのね、ナナシに拒否権なんて無いの。知ってるでしょ?」


黒い目で私を睨むイルミは、微かに哀しみがあった。


「イルミ?」


心配になってイルミに話し掛けるも、そっぽを向いてこっちを見ようとしない。それが悲しくて、無償に泣きたくなった。


「イルミのバカ…」


小さく呟いた声はイルミに届いたらしく、怪訝な表情を向けられた。それでも私は泣かない。泣きたくなんてなかった。…少し声が震えたけど。




その後、我慢も虚しく泣き叫んだ私はイルミの腕に抱き込まれて永遠を誓いをさせられた。


「これからは何があっても傍を離れないコト。いい?」
「うん」
「良かった。断られたら牢に閉じ込めてやろうと思ってた」


不気味な台詞は聞かなかったコトにしておこう。どうせ、今更離れろって言われたって離れられない位イルミが好きなんだから。



思いは巡り、元に戻る。
どんな形に戻るのかは、人それぞれ。

END

(イルミが変身してたのって…)
(殺した)
(殺した!?)
(嘘)
(…)



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