短編

□愛想笑いって何ですか
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愛想笑いって何ですか

「お嬢ってあんまり笑いませんよねぇ」
ふと天草が思い出した様に言うと、縁寿は言った。
「じゃあアンタは怒らないわよね?
泣かないわよね?」
少し唸りながら考える天草。
呆れた顔をする縁寿。
その時。
天草の携帯が鳴り、天草は唸るのを止めた。
「おっと」
携帯を開き、電話に出る天草。
「・・・・・・・・」
暫くすると、大きな笑い声が部屋に響いた。
「ヒャッハ!
それは駄目ですねェ、俺が殺されます」
縁寿は、電話の相手が誰なのかは解っていた。
だが、天草が携帯を閉じるのと同時に問いただした。
「・・・・・・誰」
天草は、ケタケタと笑い、答える。
「お嬢のよく知る小此木さんですぜ」
「ま、解ってたけど・・・
天草、アンタって愛想笑いとかしないわけ?」
縁寿が言うと、天草は急にキョトンとした。
縁寿が苦虫を噛み潰した様な顔をすると、天草が笑い、縁寿の背後に回って、縁寿の肩に手を乗せて耳元で囁いた。

「・・・愛想笑いって何ですか、お嬢」
「は?
・・・ちょ、天草!?
離れなさいよ」
「離れません、お嬢が教えてくれるまでは」
縁寿の頬がみるみる紅潮していく様を見て、満足気に笑う天草だった。


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