PandoraHearts
□それでも貴方の隣に居たい
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暗闇の中に独り、子供の俺が居る。
独りでうずくまってて……。独りで泣いてる。
ああ、またいつもの夢だ…いつものあの独りぼっちの夢。
…あれ?なんか光が…
アレは…オズ??
オズが俺の手を引っ張って……
俺は…笑ってる。こんな風にオズと居る時は何時も笑ってたな。
………おいオズ。どこに行くんだよ、そっちは…もっと真っ暗で…
まて!!行くなオズ!!
っマスター!!!!
それでも貴方の隣に居たい
ぴんっ
「……っ!?」
おでこに痛みが走った。とっさに跳ね起きると隣には、金髪の綺麗な髪をした少年が、不満の表情をしながら立っていた。
「起きるの遅いぞ、ギル。何回呼んでも起きないし。」
…コレは、現実だろうか?先ほどまで変な夢を見ていたせいか、変な風に思ってしまう。
頬に手を当てた。どうやらデコピンでもされたらしい。まだヒリヒリと痛んでいた。
どうやら現実のようだ。
「あ…ああ悪い。」
ココは、パンドラ内にある自分のらしい。
そういえば昨日、オスカー様に薦められてジュースを皆で飲んだ……ソコからの記憶が曖昧になっている。
ただ……
(オズとブレイクの言葉だけ異様に頭に残ってるんだよな……)
もしかしたら夢かも知れない。あんなオズ、今までに見た事なかったのだから。
改めて部屋を見回した。今は自分と小さな主人しか居ないらしい。
「バカウサギは?」
「んー?……なんかシャロンちゃんとどこかに行ったよ??」
部屋を見ていたオズが、こちらを向かずに答える。
「そうか…」
「それよりさ、俺達もドコかに行かない??パンドラの中はほとんど見ちゃったからつまんないんだよね〜。」
オズの要望を聞き入れて、パンドラの敷地内を一緒に散歩した。
オズはパンドラの敷地内ってだけで不満そうだったが、敷地の外となるとパンドラの人間が大勢くっついてくるので、仕方なく敷地内を散歩する事を承諾した。
「へぇ…意外と広いんだな〜…」
パンドラの敷地内を見ながら、感心するオズ。本当にこの小さな主人は、俺を和ませてくれる。
「…ギル。お前さ、さっきうなされてたけど、大丈夫か??」
不意に、オズがそんな事を言って来た。オズを見つめるが身長の差のせいで顔が見えない。どんな表情をしているのか、分からない。
「だ、大丈夫…だ。」
何故か声が固くなってしまう。これではまるで大丈夫でないと言っているようだ。
「…っぷ」
「え?」
「何お前嘘下手!!分かりやすすぎだろ!!ちっちゃい頃から変わんないんだな〜vV(ケラケラ」
オズは腹を抱えて笑い出した。
「…なっ……そんなこと…「あるよ。今だってそうだし」…(汗」
そしてオズはくるりと回れ右をすると、人差し指を突きつけてこう言ってきた。
「昨日も言ったけど!!俺は、お前によっかからくてもいいようになりたい。お前の隣に、対等に立ちたいんだよ!!昔みたいに!!」
ぷう、と頬を膨らませて言うその姿に自然に笑みがこぼれた。
ソレと同時に内心ではためらってる自分が居る。
なぜだか分からないが、もやもやした何かが胸につっかえていた。