小説 短編

□反撃
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こいつはずるい。

俺がちょっと構ってやらないだけで、すぐに不安そうな可愛い顔で隣に座ってくる。

俺の顔を覗いて、上目遣いで「どうしたの?」なんて訊いてくる。

この可愛さ、完璧に確信犯...


ニノは収録中、翔くんにベッタリだった。
それに俺は嫉妬した。
だからちょっと距離をおいて不安にさせてやるんだ。


「ねぇ...りーだぁ」
「オレなんかした?なら謝るから・・」

首を傾げて、目を潤ませて。

こいつは俺のツボを知ってるから・・




「オレりーだーと手繋いでなきゃ嫌だ・・ぐすん」




俯いて、俺の手をきゅっと握りながら泣いている。

裏で何考えてるか、分かったもんじゃない・・けど



「ごめんねニノ・・・」

可愛いこいつには勝てないんだ。




「ね、だから泣かないで。」

手をとって指を絡ませる。




「・・・・ふふ」
ほらね、やっぱり。



「じゃあ、ずーっと繋いでてくださいねっ」
ぎゅううう 


ニノは俺の腕に抱きついた。
手はもちろん、恋人繋ぎのまま。



「離しちゃ駄目ですよ?」

来た来た。ニノの上目遣い。

ニノばっかりずるいよ。
俺だって、やる時はやるんだよ?






「離すわけないよ」






魔王の時のような笑顔で見つめ返す。

途端にニノの顔が赤くなっていく。







(反撃、成功)
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