解読不能
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「────なるほど。チンピラに絡まれてた女を助けるために、か………」
ドアの横にあるプレートには捜査一課の文字。そこで俺は倉林さんに事情を聞かれていた。
まぁ、さすがに取調室ではないよな。俺は何もしてないわけだし。
一通り書き終えたらしく、倉林さんはペンを置いて煙草に火をつけた。
ちなみに今は12時過ぎ。逮捕後に色々あったらしく、この部屋で一時間近く待たされてしまった。
ちなみにもう学校は諦めた。今日の午後は進路講話で授業は無く、面倒だから風邪だと言って欠席の連絡をした。
「見過ごせるような状況じゃなかったし」
「遅刻してたのにか?」
ふん、と倉林さんは鼻で笑う。美形は何をやっても画になるらしい。
「ハルくん、事情を聞き終えたならそろそろ蒼衣くんを送ってあげて?」
にっこり笑いながら倉林さんに声をかけたこの人は比企真孝さん。若いのに部長らしい。
にこやかで人当たりが良さそうだけど何だか喰えない感じがする。
待たされている間に俺の相手をしてくれた一人だ。
「比企さん、俺はこれからあのチンピラを搬送しに行かなきゃならない。他当たってくれ」
「じゃあカイくんは?」
「すみません、僕も搬送担当なんです」
下手すりゃ女の子でも通じそうなくらい可愛らしい顔をしている衛藤快さん。
「あの、比企さん。俺、一人でも帰れますから大丈夫ですよ」
まだ昼だし。明らかに送ってもらうような時間じゃない。
「じゃあ梶くんは?」
「スルーですか」
どうやら比企さんは何が何でも誰かに俺を送らせたいらしい。
「分かった、俺が送る」
そう言って席を立った梶山慶護さん。俺の相手をしてくれたもう一人の人だ。
「行こう、蒼衣」
「はい……」
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