解読不能

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「すいません、忙しいのに……」



わざわざ梶山さんに車を出してもらい、俺は(授業に出てないけど)下校途中だ。



「いや、構わん。気分転換にちょうどいい」

「……煮詰まってたんですか?」

「まぁ、そんなところだ。それより………」



信号が赤になり、車は白線で停まる。確かここの信号、すげー長かった気がする。



「あのチンピラを倒したの、お前なんだって?」



興味深そうに梶山さんは俺を見ている。俺は仕方なく頷いた。



「何か習ってんのか? ハルから聞いた話じゃ、チンピラ共は全員起き上がれなかったとか」

「いや、その………ケンカで覚えたっていうか……そんな感じです」

「んな顔してケンカなんかしてんのか?」

「……そう言ってきた奴をボコボコにしてきました」

「そりゃ悪かった」



梶山さんは苦笑していた。

俺は何というかその、認めたくはないが女顔らしい。本当に認めたくないが。

だから昔からよく可愛いと言われたり、女の子と勘違いされたりして、簡単に言えば俺はキレた。

可愛いと言われて嬉しく思う男は数少ないだろう。少なくとも俺は嬉しくない。



「加害者にならないようにな」

「俺は自分からケンカ売ったりはしませんよ。今回が例外なだけで」



今回はお姉さんが可哀想だったから自分から仕掛けただけで、普段は吹っ掛けられない限りケンカはしない。

信号が青に変わり、車は再び走り出す。



「あの、そこのコンビニで下ろしてもらえませんか?」

「あぁ」



まともな食料が無いことに気付いた俺は昼メシを買うことにした。

食べたら着替えてスーパーだな。確か今日は卵と鶏肉がセールだったはず。



「どうした? 黙り込んで」

「親子丼を作るか別のものを作るかで悩んでるんです」

「……主婦みたいな悩みだな」



一人暮らしなんだから仕方ないんだよ!! 毎日コンビニ弁当とか堪えられねぇしさ!!




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