解読不能

□2
4ページ/4ページ







梶山さんは駐車スペースにスムーズに車を停めた。車の運転が上手いのって憧れる。



「梶山さん、もう家近いんで大丈夫です。ありがとうございました」

「気をつけてな」

「襲いかかってきたらボコボコにしてやりますよ」

「……正当防衛で片付けられる程度にしろよ」



苦笑する梶山さんに頭を下げて俺は車から下りる。どんどん遠ざかる車を見送った後、コンビニに入った。










あれこれ悩んでサンドイッチとカップスープを買い、俺はアパートに帰ってきた。

電気ケトルでお湯を沸かしている間に俺は制服を脱いで私服に着替える。

春とはいえまだ肌寒いからロンTの上に白のパーカーを羽織った。



「時計は今度でいいか」



無惨な状態になっている目覚まし時計を片付ける。しばらくは携帯でアラームをセットしよう。

軽く部屋の中を片付けた後、カップスープにお湯を注いだ。



「にしても、今日は散々だ……」



まだ昼前なのに色々なことがありすぎた。

時計破壊は俺のせいだから仕方ないけど、チンピラやら麻薬やらは不可抗力だと思いたい。



────ラベルに書かれていた、ZER0という言葉。

どこかで聞いたような気がするんだけど………。



「いただきます」



釈然としないが今はメシを優先させよう。朝も食ってねぇし、そろそろ限界だ。

もそもそとサンドイッチを頬張る。しゃきしゃきのレタスがたまらなくウマイ。

カップスープはワンタンの入った中華風。あっさりとした鶏ガラに生姜を加えて体を温める。



「ふぅ〜………ごちそうさまでした」



パンッと手を合わせた後、ゴミ箱にビニールの包装とカップを捨てた。

さて、買い物に行くか!



財布とケータイをポケットに突っ込んで俺はアパートを出た。




.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ