解読不能
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「今から蒼衣くんは保護対象だから☆」
にっこり笑う比企さんに俺は固まってしまった。
30分ほど遡り────
夜の8時を少し過ぎた頃、バイト先のカフェを出た。
カフェでバイトなんて似合わないって自分でも思うけど、給料とスタッフ割引に負けたんだよ。
「あー……疲れた」
凝った肩を回しながら歩いていると後ろから声をかけられる。振り返ると眼鏡をかけた美形。
「倉林さん……?」
「来い」
「は? 何で?」
「比企さんがお前に話があるんだとよ」
比企さんがねぇ………悪い人じゃないし、まぁいいか。
そんな軽い気持ちで俺は倉林さんの車に乗ってしまった。
で、冒頭に戻るわけだ。
「何で俺が保護対象なのか理由を聞かせて下さい」
勿論、まともな理由じゃなかったら即拒否してやるつもりだ。
そんな俺の気持ちを感じ取ったのか、比企さんは苦笑した。
「実は先日君が倒してくれたチンピラは元々麻取でマークしてたんだ。
チンピラが所属する組織に潜入捜査をしてガサ入れの機会を窺ってたんだけど………妙なことがあってね」
「妙なこと?」
「何者かが彼らに君を襲わせた可能性が出てきたんだよ」
「!!」
顔が強張った。俺を襲わせた………? それってつまり、
「蒼衣くん、君は狙われている。だから保護対象なんだよ」
「…………」
「そういうわけだから、これからは僕たちの指示に従ってもらうよ。いいね?」
頷くしかなかった。でも何で俺を狙ってるんだ?
「二つ質問していいですか?」
「答えられる範囲なら答えるよ」
比企さんは薄く微笑む。
「何故俺を襲わせた可能性がでてきたんですか?」
「朝のチンピラの一人が吐いてくれたんだよ。外部から君を連れてくるように依頼があったって」
つまり、俺を狙ってるのはチンピラの所属する組織とは別の組織ってことか。
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