解読不能
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「おはよー梶さん!」
「………何やってんだ? 蒼衣」
Tシャツにスウェット姿であくびをしている梶さん。対する俺は用意してもらったシャツの袖を捲ってパンを焼いていた。
「朝メシ作ってるけど?」
冷蔵庫にあまり食材が入ってなかったから簡単に、だけどな。
大きめの皿に目玉焼きとベーコン、ミニトマトを載せる。あとはトーストの焼き上がりを待つだけだ。
「さぁ梶さん、とっとと着替えてきて下さい!」
「あ、あぁ」
そう言って梶さんをキッチンから追い出した。そうだ、コーヒー淹れよう。確かこの辺にあったような………。
棚を漁るとインスタントコーヒー(詰め替え用)があった。……詰め替えるビンは何処だよ。
それは後から探すことにしよう。マグカップにコーヒーを淹れた。
焼き上がったトーストを皿に載せて苺ジャムの入ったビンと共にテーブルへ運ぶ。
「手際イイな」
身支度を整えた梶さんがキッチンに現れて呟いた一言だ。
「一人暮らしだから毎日自分で作ってるんだよ」
「大変だな」
「んー……慣れるとそうでもない」
お互いイスに腰かけて朝食を食べ始める。
「なぁ、急がなくていいのか? 仕事だろ」
「今日はお前の荷物持ってくる日だろう。終わり次第、事務所に向かうが……」
「あ、そうだった」
トーストにジャムを塗りながら昨日比企さんが言っていたことを思い出す。
荷物って言っても勉強道具とか服とか、必要なものだけ持ってくればいいし。
「学校2日も休んじゃったなぁ………」
「今日の分のノートはカイが取ってるから大丈夫だ」
どうやら潜入捜査は今日かららしい。そっか、衛藤さんとはクラスメイトかー。
トーストをコーヒーで流し込みながら俺は明日からの学校生活に思いを馳せた。
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